樫の木の生える林で、横臼を作り~
その横臼を使い、造ったおいしいお酒~
どうぞおいしく召し上がれ~
我々の父君よ~

歌い手:吉野の有力者たち
出 典:応神天皇の皇子が佩いている剣がかっこええ―、と吉野で評判になった歌
章立て:13.応神天皇

大雀命(おおさざきのみこと)、後の仁徳天皇が佩いている剣を褒める歌に続いて、吉野の有力者たちが歌った歌。天皇に貢物を納める時に歌われる歌となります。

大雀命の剣を褒める歌の時も指摘しましたが、この歌も、そのままの内容だと、やはりあまり意義のある歌とは言えません。少なくとも、なぜここに配置されているのかはイミフです。

古事記の流れ上、この「我々の父君」は大雀命を指しているように思われます。まだ皇子である仁徳天皇です。父として応神天皇がまだ存命のような時です。

これもやはり、応神天皇編に登場する大雀命の礼賛の一形態と思われます。

この後、大雀命は応神天皇の皇太子と皇位を譲り合います。しかし、普通に考えても、これは応神天皇の皇太子を退けて、自分が皇位に就いたような流れです。大雀命が即位して仁徳天皇となりますが、その即位に不透明さがあるからこそ、こうした大雀命礼賛の歌が多く残されているのかもしれません。

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

カシの木の原に横の廣い臼を作り
その臼に釀したお酒、
おいしそうに召し上がりませ、
わたしの父さん。

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