さあ娘たちよ、
野蒜摘みに、蒜摘みに、
ワシが行こうとする道に、
香りのよい花橘が咲いている~
その橘の上の枝にある花は、
鳥がつついて枯らしてしまう。
下の枝の花は、人が取って枯らしてしまう。
中の枝の、まだ蕾のような、
赤い頬をした少女を、手に入れちゃいな~
野蒜摘みに、蒜摘みに、
ワシが行こうとする道に、
香りのよい花橘が咲いている~
その橘の上の枝にある花は、
鳥がつついて枯らしてしまう。
下の枝の花は、人が取って枯らしてしまう。
中の枝の、まだ蕾のような、
赤い頬をした少女を、手に入れちゃいな~
歌い手:応神天皇
出 典:探し当てた美女を息子に懇願されて譲り渡す応神天皇 懐広い? ちょっと後悔?
章立て:13.応神天皇

こちらの歌は、仁徳天皇に、「そこに可愛いオンナがいるから取っちゃいな~」と進めているとも読み取れる歌。これだけ見れば、応神天皇もカミナガを譲るのに納得しているとも読み取れますが、この次の歌では未練たらたらとも受け取れるような歌になります。
仁徳天皇は古事記の中でも一二を争う女好き。このカミナガをめぐる説話は、その仁徳好色伝説の始まりを告げるものでもあります。
まだ世の中にさらされていない、真ん中にあるキレイな蕾、仁徳天皇は喜び勇んでゲットしたことは想像に難くありませんし、この後に続く仁徳天皇の歌にもそれは表れてきます。
※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。
さあお前たち、野蒜摘みに
蒜摘みにわたしの行く道の
香ばしい花橘の樹、
上の枝は鳥がいて枯らし
下の枝は人が取つて枯らし、
三栗のような眞中の枝の
目立つて見える紅顏のお孃さんを
さあ手に入れたら宜いでしよう。
蒜摘みにわたしの行く道の
香ばしい花橘の樹、
上の枝は鳥がいて枯らし
下の枝は人が取つて枯らし、
三栗のような眞中の枝の
目立つて見える紅顏のお孃さんを
さあ手に入れたら宜いでしよう。
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