葛野の方を見ると、ホントたくさん、
家々が見渡せる、豊かな国だな~
(さすがオレの国~、オレ様エライ~)

歌い手:応神天皇
出 典:自分の子の中で、兄を疎んじ、弟を愛でる応神天皇 理想の女をゲットして有頂天
章立て:13.応神天皇

応神天皇縦480px応神天皇編は、古事記において少ない方ではなく、オオクニヌシ、ヤマトタケル、仁徳天皇などに次いで、古事記でも紙面が割かれている神・人の一人ですが、その肉声が伝わっている部分というのは意外に少ないのが特徴です。この歌は、応神天皇の古事記における初めての歌です。

これ以前にも応神天皇編では歌が掲載されていますが、一つは、反逆者・忍熊王(おしくまのみこ)のもの、一つは、母・神功皇后のもの、もう一つは、功臣・建内宿禰のものです。この歌から、ようやく応神天皇が成人した、ということでしょうか。

若々しさ、前向きさの伝わってくる歌です。希望に満ち溢れ、親政開始直後のような意欲にも溢れています。おそらくはホントにそうした時期だったのでしょう。この後、嫁取りの話になります。

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

葉の茂つた葛野を見れば、
幾千も富み榮えた家居が見える、
國の中での良い處が見える。

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

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