さあ、わが弟よ。
建振熊命にこれ以上ひどい目にあわされないよう、
鳥のように近江の湖に潜ってしまおう。

歌い手:忍熊王(おしくまのみこ)
出 典:応神天皇、都が不穏で棺の中に入って大和に帰国 反乱軍を騙し討ちで討伐
章立て:13.応神天皇

新羅遠征を終えて、九州に戻ってきた神功皇后が九州で産んだ御子である応神天皇。応神天皇が都に戻ってくると、反乱の火の手が上がっていました。忍熊王(おしくまのみこ)によるものです。

忍熊王は伊佐比宿禰(いさひのすくね)を将軍とし、応神天皇は難波根子建振熊命(なにわねこたけふるくまのみこと=建振熊命)を将軍とし、両軍激突します。

最終的に、建振熊命の奇計に騙された忍熊王の軍は、琵琶湖まで後退、伊佐比宿禰とともに琵琶湖の船上の人となった忍熊王は、伊佐比宿禰と入水自殺をします。その際の忍熊王による辞世の歌です。

仲哀天皇が不可解な死を遂げ、神功皇后がいきなり新羅討伐を成功させ、神功皇后の御子である応神天皇が都に凱旋してくる、ということに、納得のいかなかった勢力による抵抗もここまで、となります。

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

さあ君よ、
フルクマのために負傷するよりは、
カイツブリのいる琵琶の湖水に
潛り入ろうものを。

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応神天皇 - 自身の登場シーンがあまり多くない天皇

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