命が助かった人は、
幾重にも山に囲まれた、
平群の山の大きな樫の木の葉を、
かんざしに刺すがよい~

歌い手:倭建命(やまとたけるのみこと=ヤマトタケル)
出 典:ヤマトタケルの最期、国を思う歌、置いてきた草薙の剣に思いを馳せ見事逝く
章立て:11.ヤマトタケル

倭建命(やまとたけるのみこと=ヤマトタケル)縦480px伊吹山の神退治で油断して返り討ちに遭い、瀕死の重傷を負ったヤマトタケルが、何とか能煩野(現 三重県亀山市)に至った時、国思歌に続けて歌った歌。

国思歌と対になっているような感じで、国思歌が故郷に向けて歌ったものであるのに対して、こちらの歌は一行の中で無事だった人や、故郷の遺族に向けて歌ったものと思われます。

一行の中で無事だった人が、このまま無事に故郷に戻れるよう願ったもの、と解釈できそうです。

そこには残念ながら自分は故郷に戻るのは無理だ、という、自分の死期への悟りがあるように思います。怪我がよほど重症だったのでしょう。

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

命が無事だつた人は、
大和の國の平群の山の
りつぱなカシの木の葉を
頭插にお插しなさい。お前たち。

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