天にいる、若い織姫が首にかけている玉の首飾り。
ああ、あの首飾りのきれいな玉のような人よ。
あの谷を、二つの谷を飛んでいく。
あれこそがアヂスキタカヒコネさまですよ~

歌い手:下照比売(したてるひめ=シタテル)
出 典:夫を暗殺されたオオクニヌシ娘の悲嘆、悲しい葬式のはずがハチャメチャに
章立て:5.葦原中国平定

下照比売(したてるひめ=シタテル)縦480pxシタテルが、兄の名を明かした歌。夷振(ひなぶり)と呼ばれる歌。これにより、シタテルちゃんも、スサノヲと並ぶ和歌の祖とされています。

ただ、この歌の意味が分かりずらい。展開は以下の通りです。

1.国を譲れというアマテラスの命令より、高天原よりアメノワカヒコが派遣されてくる
2.アメノワカヒコ、シタテルに一目惚れ、結婚。高天原を裏切ることを決意
3.アメノワカヒコ、裏切りの代償として高天原に暗殺される
4.シタテル、夫アメノワカヒコの急死を嘆き悲しむ、その声が高天原まで届く
5.高天原のアメノワカヒコの親族が来て、シタテルとともにアメノワカヒコの葬式をする
6.アメノワカヒコの親友で、シタテルの兄であるアヂスキタカヒコネも葬式にやってくる
7.高天原のアメノワカヒコの親族、アヂスキタカヒコネをアメノワカヒコと誤認する
8.アヂスキタカヒコネ、死人に似ていると言われキレる。式場を破壊し、飛び去る
9.シタテル、兄の名を明かす歌を歌う

上記の6番までは納得できる展開。まあ、7番も、8番も、そんなことがあるかもしれない。しかし、それでなぜ9番の展開になるのでしょうか。しかも、歌はそれ以外に考えられないような内容であり、この歌が夷振とされ、その後宮中で重視されていきます。シタテルちゃんも和歌の祖になる。

兄アヂスキタカヒコネの名を明かすことで、親族が誤認するほど瓜二つだった夫アメノワカヒコを悼んでいるのでしょうか?

あるいは素直に、シタテルちゃんのアヂスキタカヒコネに対する愛を歌っているのか。

非常に重要な歌なのでしょうが、つながりや内容がいまいちよく分からない歌です。

【一言切り取り】
シタテル「お兄ちゃんも、どっか逝っちゃった~」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

天の世界の若い織姫の
首に懸けている珠の飾り、
その珠の飾りの大きい珠のような方、
谷二つ一度にお渡りになる
アヂシキタカヒコネの神でございます。

【古事記の傾向と対策】古事記に収録されている歌113首の索引、リンク集

【パワースポット】
倭文神社 - シタテルにあやかり、意中の人に一目惚れされ、美声アップ?

【関連キャラ】
シタテル - オオクニヌシ娘で和歌の祖という姫
アメノワカヒコ - シタテルに一目惚れ、高天原を裏切る

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