古事記を彩る姫たちエントリーNO.17 黒日売(くろひめ=クロ)
吉備国(現 岡山県)の海部直(あまべのあたい)の娘で、その美しさを聞きつけた仁徳天皇が召し上げ、妃の一人としました。
しかし、皇后・石之日売命(いわのひめのみこと=イワノ)が大変嫉妬深く、仁徳天皇がほかの女性に近づくことを極端に嫌い、その矛先が女性に向かったため、クロヒメも皇后を恐れるようになり、ついには都を辞し、吉備に帰郷することになりました。
帰郷する際、難波の港から船で行こうとするクロヒメ。その様子を都の高台から眺めていた仁徳天皇が、クロヒメが去るのを寂しがる歌を歌います。
その歌を聞きつけた皇后イワノは激怒、人を派遣して、クロヒメを下船させて、徒歩で帰郷するよう命じます。仁徳天皇、どこまでもカミさんに頭上がらない。。
しかし、クロヒメを忘れられない仁徳天皇。皇后イワノの目を盗み、「そうだ、淡路島に行こう」と偽って、吉備に向けて行幸します。
実際、恐妻家の仁徳天皇は淡路島経由で吉備に向かい、その途中、アリバイ工作のためか、風景を愛でる歌を歌います。このあたり、現代劇でも通用しそう。。
吉備に到着した仁徳天皇はクロヒメと再会、クロヒメも天皇を歓待し、イチャイチャする二人。仁徳天皇の喜びに満ちた歌が残されています。しかしそれもつかの間のことでした。
いつまでも吉備にいるわけにはいかない仁徳天皇が、都に戻る日がやってきました。別れを惜しんで、クロヒメは二首の歌を天皇に献じます。
一首目は、「遠く離れていても、あなたのことを忘れられない~」というもの。
二首目は、「あなたは誰の夫なの? 誰のものなの?」と少し感傷がグレードアップ。
クロヒメが純粋に仁徳天皇を愛していたことがうかがえます。それに引き換え、仁徳天皇。恐妻家のくせして、女好き。。
この後、古事記では仁徳天皇の恐妻家ぶり(皇后イワノの家出)、女好きなどをメインテーマとしてストーリーは展開しますが、クロヒメの出番はここまで。
岡山(以前の吉備)では、「黒媛伝説」として、クロヒメと仁徳天皇のロマンスを今に伝えています。津山市新野山形(旧・勝北町)にある水原古墳(横穴式石室、1937年発掘。出土品は東京国立博物館に保管)がクロヒメの陵墓ではないかとされています。
津山市では、ミュージカル「黒媛物語」なども行っており、町おこしにつなげているようです。
また、こうもり塚古墳(岡山県総社市)は、黒媛塚とも呼ばれており、ここをクロヒメの陵墓とする伝承が根強く伝えられています。ただし、この古墳は前方後円墳で、6世紀ごろのものとされ、仁徳天皇―クロヒメの4世紀ごろとは時代がかい離しているとされています。
何はともあれ、仁徳天皇との間に子はないとされ、古事記での登場もそれほど多くはないものの、現在まで語り継がれるクロヒメ。
好色なのに恐妻家の仁徳天皇のだらしなさも目に付きやすいですが、お互い愛し合っていた(仁徳天皇はオンナの一人として)ことは間違いなく、そのラブロマンスに魅力があるのでしょう。
また、特にクロヒメ。皇后イワノに遠慮して帰郷したり、皇后イワノにいやがらせされたり、それでも追っかけて来てくれた仁徳天皇を歓待し、別れを惜しんだりする、その奥ゆかしさや、純粋さが現在でも共感を呼んでいるのかもしれません。
※画像は、水原古墳(伝黒媛塚)歌碑。(出典:津山市)
【関連記事】
・皇后の嫉妬におびえて田舎に帰ってしまった愛人を追いかけていく仁徳天皇
・ほとばしる美しさで、男どもをメロメロにする女子たち - 古事記を彩る姫たち
・日本が世界に誇る、古代ラブロマンス・オペラへようこそ - ぶっちゃけ古事記本文の目次
【関連キャラ】
・クロヒメ - 皇后が怖くて実家に帰った仁徳天皇の妃
・仁徳天皇 - 古事記中盤の主役はやはり女好きの御仁
・イワノ - 古代日本最強の姫は、史上初のツンデレ?
吉備国(現 岡山県)の海部直(あまべのあたい)の娘で、その美しさを聞きつけた仁徳天皇が召し上げ、妃の一人としました。
しかし、皇后・石之日売命(いわのひめのみこと=イワノ)が大変嫉妬深く、仁徳天皇がほかの女性に近づくことを極端に嫌い、その矛先が女性に向かったため、クロヒメも皇后を恐れるようになり、ついには都を辞し、吉備に帰郷することになりました。

その歌を聞きつけた皇后イワノは激怒、人を派遣して、クロヒメを下船させて、徒歩で帰郷するよう命じます。仁徳天皇、どこまでもカミさんに頭上がらない。。
しかし、クロヒメを忘れられない仁徳天皇。皇后イワノの目を盗み、「そうだ、淡路島に行こう」と偽って、吉備に向けて行幸します。
実際、恐妻家の仁徳天皇は淡路島経由で吉備に向かい、その途中、アリバイ工作のためか、風景を愛でる歌を歌います。このあたり、現代劇でも通用しそう。。
吉備に到着した仁徳天皇はクロヒメと再会、クロヒメも天皇を歓待し、イチャイチャする二人。仁徳天皇の喜びに満ちた歌が残されています。しかしそれもつかの間のことでした。
いつまでも吉備にいるわけにはいかない仁徳天皇が、都に戻る日がやってきました。別れを惜しんで、クロヒメは二首の歌を天皇に献じます。
一首目は、「遠く離れていても、あなたのことを忘れられない~」というもの。
二首目は、「あなたは誰の夫なの? 誰のものなの?」と少し感傷がグレードアップ。
クロヒメが純粋に仁徳天皇を愛していたことがうかがえます。それに引き換え、仁徳天皇。恐妻家のくせして、女好き。。
この後、古事記では仁徳天皇の恐妻家ぶり(皇后イワノの家出)、女好きなどをメインテーマとしてストーリーは展開しますが、クロヒメの出番はここまで。

津山市では、ミュージカル「黒媛物語」なども行っており、町おこしにつなげているようです。
また、こうもり塚古墳(岡山県総社市)は、黒媛塚とも呼ばれており、ここをクロヒメの陵墓とする伝承が根強く伝えられています。ただし、この古墳は前方後円墳で、6世紀ごろのものとされ、仁徳天皇―クロヒメの4世紀ごろとは時代がかい離しているとされています。

好色なのに恐妻家の仁徳天皇のだらしなさも目に付きやすいですが、お互い愛し合っていた(仁徳天皇はオンナの一人として)ことは間違いなく、そのラブロマンスに魅力があるのでしょう。
また、特にクロヒメ。皇后イワノに遠慮して帰郷したり、皇后イワノにいやがらせされたり、それでも追っかけて来てくれた仁徳天皇を歓待し、別れを惜しんだりする、その奥ゆかしさや、純粋さが現在でも共感を呼んでいるのかもしれません。
※画像は、水原古墳(伝黒媛塚)歌碑。(出典:津山市)
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【関連キャラ】
・クロヒメ - 皇后が怖くて実家に帰った仁徳天皇の妃
・仁徳天皇 - 古事記中盤の主役はやはり女好きの御仁
・イワノ - 古代日本最強の姫は、史上初のツンデレ?
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