わたしは、しおれた草のような女です~
心は落ち着かずふらふらしている水鳥のよう。
だから今は考えられませんが、
いずれはあなた様の鳥になりましょう。
ですから気長に人生楽しみましょ~

歌い手:沼河比売(ぬなかわひめ=ヌナカワ)
出 典:「イイ女がいる? どこでも行くよーん」オオクニヌシ、全国飛び回る
章立て:4.オオクニヌシ

沼河比売(ぬなかわひめ=ヌナカワ)縦480pxヌナカワが、大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ)からの求愛の歌に対して、返した歌。オオクニヌシの女好き溢れるがつがつとした奔放な歌に対して、冷静に「少し、待って」というような内容の歌であり、ヌナカワの戸惑いを表す一方で、海千山千オオクニヌシに対して、十分対等に向かい合っている姿勢がうかがえます。

そういう意味で、焦らし、いなしているあたり、ヌナカワの繊細な女心も表現されている、やはりリアリズム溢れる良い歌となっています。

「少し、待って」という気持ちを込めて、人生長いし、慌てないで、楽しもうよというヌナカワのやさしさや前向きさも同時に読み取れます。

こうした歌を受け取っては、オオクニヌシならずとも、男としては、その女性に対する愛情は冷めるどころか、いやがおうに増し、しかも相手の気持ちをおもんばかろうという姿勢を示すようになるのではないでしょうか。恐らくはヌナカワちゃんの狙い通りなのでしょうが。

「神語り」の結末句「お語りいたすはかくのごとくに」がある歌です。

【一言切り取り】
ヌナカワ「もすこし、待って…」
ヌナカワ「人生、楽しもう!」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

ヤチホコの神樣、
萎れた草のような女のことですから
わたくしの心は漂う水鳥、
今こそわたくし鳥でも
後にはあなたの鳥になりましよう。
命長くお生いき遊あそばしませ。

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