日本中でもうたくさん妻を探しまくっているけど、
結構遠い越の国に、賢くて美しい女性がいると聞いて、
夜這い(=今でいう結婚)に来ることにしたよ~

まだ腰のもの(剣ですよ)は取っていないし、
服も脱いでいないけど、
姫の寝室の窓の板戸を押して引いて揺さぶって悶えているよ~

ああ~、山からヌエとか、鳥とかの鳴き声がウザい。

歌い手:大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ)
出 典:「イイ女がいる? どこでも行くよーん」オオクニヌシ、全国飛び回る
章立て:4.オオクニヌシ

大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ)縦480pxオオクニヌシが越の国(現 新潟県)の美女神・沼河比売(ぬなかわひめ=ヌナカワ)の美しさを聞きつけ、夜這いに来て、ヌナカワに求愛した歌です。

スサノヲの日本で初めての和歌に次ぐ二首目の歌になりますが、スサノヲの一首目とは打って変わって、恋愛現場の臨場感あふれる描写になっています。

イイ女がいればすぐ行ってものにしていて女たくさん囲んでいるよ、と歌い出し、越の国にもいると聞いたから来た、とつなげ、ソッコー結婚の申し込み。身だしなみはまだ崩していないが、寝床の戸の外で悶えているよ、とします。

鳥や獣の鳴き声など外野がうるさいのが気に食わね~、とまとめています。こうした一連の流れ、すでに現代と感覚的にそう違わないところがすごい。というか、チョメチョメは古今東西、それほど変わらん?

素直に読めば、いい意味で、オオクニヌシの女好き(オオクニヌシの最も特徴的な個性)が如実に表れた、生き生きとした、恋歌と言えると思います。

「神語り」の結末句「お語りいたすはかくのごとくに」がある歌です。

【一言切り取り】
オオクニヌシ「どこにでも行くよーん」

※下記は、現代語譯 古事記 稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳による現代語訳。上のぶっちゃけ訳とも見比べてください。

ヤチホコの神樣は、
方々の國で妻を求めかねて、
遠い遠い越の國に
賢こい女がいると聞き
美しい女がいると聞いて
結婚にお出でましになり
結婚にお通よいになり、
大刀の緒もまだ解かず
羽織をもまだ脱ぬがずに、
娘さんの眠つておられる板戸を
押しゆすぶり立つていると
引き試みて立つていると、
青い山ではヌエが鳴いている。
野の鳥の雉は叫んでいる。
庭先でニワトリも鳴いている。
腹が立つさまに鳴く鳥だな
こんな鳥はやつつけてしまえ。

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【パワースポット】
能生白山神社 - 古事記の恋愛劇ヒロインの一人、ヌナカワにあやかる

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