古事記を彩る姫たちエントリーNO.03 須勢理毘売命(すせりびめ=スセリ)
八上比売(やがみひめ=ヤガミ)が八十神の求婚を断り、「わたし、オオクニヌシ様と結婚するわ~」と言ったことから、八十神の大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ)に対する迫害が始まり、何度か逝ったオオクニヌシ。これを断ち切るために自分の祖先でもある建速須佐之男命(たけはやすさのをのみこと=スサノヲ)に相談すべく、黄泉の国に行きます。
そこでオオクニヌシが運命的に出会ったのが須勢理毘売命(すせりびめ=スセリ)という美女神です。ふたりはすぐにホーリンラブ。しかし、このスセリ、実はスサノヲの愛娘でした。。
愛娘を取られたスサノヲは、自分の子孫なのにオオクニヌシをいびり倒します。それはもう、身の毛もよだつ方法で。しかし、オオクニヌシLOVEの新妻スセリ、夫のピンチを何度も助けます。
何度もいびり抜かれた挙句、スサノヲに対して逆襲に転じたオオクニヌシ。スサノヲを縛り付けて、スセリを抱えて、黄泉の国から脱出します。追い駆けてきたスサノヲがオオクニヌシに送ったエールが素晴らしい。ここで二人の関係は修復されます。
さて、オオクニヌシは黄泉の国から戻ると、八十神にソッコーでリベンジを果たし、ヤガミもゲット。んんんっ、スセリを得たばかりでは?? このあたり、オオクニヌシは気にしなかったようですが、ヤガミはスセリに遠慮します。オオクニヌシとの子供を産むと、その子供を木の股に刺し込んで、実家に帰って行きました。
さて、ヤガミが去ってもスセリは心配事だらけ。オオクニヌシはおそらく日本史上初の「女好き」。現地妻は両の手では数えられないほど、あっちこっちに作りまくります。
古事記ではオオクニヌシと越の国(現 新潟県)の沼河比売(ぬなかわひめ=ヌナカワ)との情事をオペラ風に描いています。
我慢するスセリ。いくら他に女作っても我関せずだった女好きオオクニヌシも、さすがにスセリを憐れみ、歌います。「たくさん女いても~、オマエが一番さ~」。
今なら殺されそうな男の発言ですが、スセリは、「そりゃーキレイな女たくさん囲っているんでしょうね。私は女だからひとり待ちぼうけ。たまには可愛がってくださいね」と歌い返します。
激しい嫉妬をのぞかせ、気が強そうですが、男なら抱きしめてあげたくなる可愛さ。けなげでもあります。元祖ツンデレか。仁徳天皇の皇后・石之日売命(いわのひめのみこと=イワノ)といい勝負かも。
この歌のやり取りの後、二人は抱き合います。これまた、日本史上初めての“おしどり夫婦”の誕生です。
黄泉の国で、スサノヲの迫害に遭ったオオクニヌシを助けるスセリ。間違いなく、彼女の助けがなければオオクニヌシは死んでいました。そんな夫に尽くすスセリにフォローはしますが、結局ほうぼうに女を作り、合計180人(柱)もの子供を残すオオクニヌシ。
ヤガミにはプレッシャーをかけたものの、うーん、スセリの何と素晴らしい包容力。
「スセリ」は「進む」の「スス」、「すさぶ」の「スサ」と同根で、積極的な意思をもつ女神の意でもあると言います。スサノヲの娘ですからね。。名前もそこから来ているんでしょう。
激情の神でもあるわけで、それが正妻に収まったからこそ、オオクニヌシのその後の発展があったわけです。スセリがいなければ、オオクニヌシの国造りも、その後の国譲りもなかったかもしれない、と考えると、偉大な女神です。
現在では、オオクニヌシと一緒に祀られている場合がほとんどのようです。
・出雲大社(島根県出雲市)の摂社大神大后神社(御向社)
・春日大社(奈良県奈良市)の末社夫婦大国社
・國魂神社(福島県いわき市)
・那売佐神社(島根県出雲市)
・総社宮(岡山県岡山市)
・總社(岡山県総社市)
スセリちゃんを単独で祀っている神社に唐王神社があります。ここには、スセリちゃん最期の地とされる伝承が残されています。
※画像は、那売佐神社の本殿。オオクニヌシと夫婦仲良く祀られている(出典:Wikipedia)。
【関連記事】
・対決!スサノヲ VS オオクニヌシ ちょい悪オヤジが義理の息子に送った言葉とは?
・兄ちゃんたちに復讐コンプリ! オオクニヌシが美女に囲まれウハウハし始める
・「イイ女がいる? どこでも行くよーん」オオクニヌシ、全国飛び回る
・現地妻作りすぎて、嫁さんに絡まれるオオクニヌシ「でも、オマエが一番さ」
・実に全国180人(柱)、古代日本最強の子だくさん・オオクニヌシ
・女性と『古事記』 - 幸運引き寄せ、願い叶え、美しく、心身浄化
・ほとばしる美しさで、男どもをメロメロにする女子たち - 古事記を彩る姫たち
・日本が世界に誇る、古代ラブロマンス・オペラへようこそ - ぶっちゃけ古事記本文の目次
【関連キャラ】
・スセリ - オオクニヌシ大好きすぎて拗ねる女神
・オオクニヌシ - 国つ神のドンは破天荒な女好き
・スサノヲ - 荒ぶる神からちょいワル親父への転身
・ヤガミ - 日本初? 結婚後に「実家に帰ります」
【古事記の神・人辞典】
・スサノヲ
八上比売(やがみひめ=ヤガミ)が八十神の求婚を断り、「わたし、オオクニヌシ様と結婚するわ~」と言ったことから、八十神の大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ)に対する迫害が始まり、何度か逝ったオオクニヌシ。これを断ち切るために自分の祖先でもある建速須佐之男命(たけはやすさのをのみこと=スサノヲ)に相談すべく、黄泉の国に行きます。
そこでオオクニヌシが運命的に出会ったのが須勢理毘売命(すせりびめ=スセリ)という美女神です。ふたりはすぐにホーリンラブ。しかし、このスセリ、実はスサノヲの愛娘でした。。
愛娘を取られたスサノヲは、自分の子孫なのにオオクニヌシをいびり倒します。それはもう、身の毛もよだつ方法で。しかし、オオクニヌシLOVEの新妻スセリ、夫のピンチを何度も助けます。
何度もいびり抜かれた挙句、スサノヲに対して逆襲に転じたオオクニヌシ。スサノヲを縛り付けて、スセリを抱えて、黄泉の国から脱出します。追い駆けてきたスサノヲがオオクニヌシに送ったエールが素晴らしい。ここで二人の関係は修復されます。
さて、オオクニヌシは黄泉の国から戻ると、八十神にソッコーでリベンジを果たし、ヤガミもゲット。んんんっ、スセリを得たばかりでは?? このあたり、オオクニヌシは気にしなかったようですが、ヤガミはスセリに遠慮します。オオクニヌシとの子供を産むと、その子供を木の股に刺し込んで、実家に帰って行きました。
さて、ヤガミが去ってもスセリは心配事だらけ。オオクニヌシはおそらく日本史上初の「女好き」。現地妻は両の手では数えられないほど、あっちこっちに作りまくります。
古事記ではオオクニヌシと越の国(現 新潟県)の沼河比売(ぬなかわひめ=ヌナカワ)との情事をオペラ風に描いています。
我慢するスセリ。いくら他に女作っても我関せずだった女好きオオクニヌシも、さすがにスセリを憐れみ、歌います。「たくさん女いても~、オマエが一番さ~」。
今なら殺されそうな男の発言ですが、スセリは、「そりゃーキレイな女たくさん囲っているんでしょうね。私は女だからひとり待ちぼうけ。たまには可愛がってくださいね」と歌い返します。
激しい嫉妬をのぞかせ、気が強そうですが、男なら抱きしめてあげたくなる可愛さ。けなげでもあります。元祖ツンデレか。仁徳天皇の皇后・石之日売命(いわのひめのみこと=イワノ)といい勝負かも。
この歌のやり取りの後、二人は抱き合います。これまた、日本史上初めての“おしどり夫婦”の誕生です。
黄泉の国で、スサノヲの迫害に遭ったオオクニヌシを助けるスセリ。間違いなく、彼女の助けがなければオオクニヌシは死んでいました。そんな夫に尽くすスセリにフォローはしますが、結局ほうぼうに女を作り、合計180人(柱)もの子供を残すオオクニヌシ。
ヤガミにはプレッシャーをかけたものの、うーん、スセリの何と素晴らしい包容力。
「スセリ」は「進む」の「スス」、「すさぶ」の「スサ」と同根で、積極的な意思をもつ女神の意でもあると言います。スサノヲの娘ですからね。。名前もそこから来ているんでしょう。
激情の神でもあるわけで、それが正妻に収まったからこそ、オオクニヌシのその後の発展があったわけです。スセリがいなければ、オオクニヌシの国造りも、その後の国譲りもなかったかもしれない、と考えると、偉大な女神です。
現在では、オオクニヌシと一緒に祀られている場合がほとんどのようです。
・出雲大社(島根県出雲市)の摂社大神大后神社(御向社)
・春日大社(奈良県奈良市)の末社夫婦大国社
・國魂神社(福島県いわき市)
・那売佐神社(島根県出雲市)
・総社宮(岡山県岡山市)
・總社(岡山県総社市)
スセリちゃんを単独で祀っている神社に唐王神社があります。ここには、スセリちゃん最期の地とされる伝承が残されています。
※画像は、那売佐神社の本殿。オオクニヌシと夫婦仲良く祀られている(出典:Wikipedia)。
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【関連キャラ】
・スセリ - オオクニヌシ大好きすぎて拗ねる女神
・オオクニヌシ - 国つ神のドンは破天荒な女好き
・スサノヲ - 荒ぶる神からちょいワル親父への転身
・ヤガミ - 日本初? 結婚後に「実家に帰ります」
【古事記の神・人辞典】
・スサノヲ
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