大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ) 縦480px

カワイイ子がいる? どこでも行くよーん(by オオクニヌシ)

以前指摘しましたが、本サイトの本文における登録タグの集計において、最も多くなったのが「合体」、つまりSEXを比較的直截的に連想させる記述ですが、そうしたものが非常に多い、その数、実に22回。

次に多かった「オオクニヌシ」は古事記の英雄の一人ですが、それでも13回にとどまっています。これと比べてみても、いかに古事記全編において、SEXの描写が多いか、という表れでしょう。また、オオクニヌシは古事記の中でも“合体”を連想させる話が多い方でもあります。

大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ) 縦500px古事記は、神々からつながる天皇家の物語であり、その“つながり”はもちろん性行為による子孫繁栄ですから、そもそもSEXが古事記のメインのテーマと言って何の差支えもないものではあります。

もちろん、グロい表現はほとんどなく、古代らしい大らかさのオブラートで包まれた描写に満ちており、現代の大人にとっては、そこに一種の爽快さや清々しさ、ほっかりさを感じさせるほどのもの。だからこそ日本の古典として、1300年もの間失われることなく、伝わったのでしょう。

古事記に限らず、世界の神話や伝説に、もちろんSEXはつきものだと思いますが、ここまで大らかな恋愛情緒あふれた叙述(しかもオペラ的な歌を交えて)で紡がれているというのは、やはり世界的にも珍しいのではないかと思います。

ただ、子供には少し刺激が強いかもしれません。もちろん、子供向けの古事記の解説書や漫画本なども多く出されていますが、このあたりはいずれもやんわりと表現(「幸せに結婚しました」とか)しているのでしょう。

しかしそれだと古事記の文学的なものも含めたすべての価値を100%は表現しきれないかもしれません。

子供の頃から古事記に慣れ親しむのは、日本人として非常に良いことだと思いますが、子供には是非、「大人になってから、原文を読んでね。原文は難しいから、原文に近い訳文を読んでみてね」と言ってあげたいものです。

原文に近い訳文、というのも、現代の大人にとっても正直、難しいものです。少なくとも取っつきづらさにあふれています。自国の神話や伝説、歴史なのに、です。それがちょっと寂しい。

それを無理して読み進めようというのは、本当の意味で身にならない、ということもあって、親しみやすさと読みやすさを優先させた本サイトを立ち上げたわけではあります。

さて、22個の“合体”描写は下記の通りとなります。

・そもそもの国産み(島産み)からして、かなり直接的な描写から始まります。

・失敗譚を踏まえて、イザナギとイザナミは順調に島産みしていきます

・ヤマタノオロチを討伐したスサノヲがクシナダヒメと結ばれます

・兄・ヤソガミの求婚について行ったオオクニヌシがヤガミヒメをゲットして結ばれます。

・黄泉の国に行ったオオクニヌシが、スサノヲ娘と両想い一目惚れして結ばれます

・美女がいる噂を聞いたオオクニヌシが越の国でヌナカワヒメと結ばれます

・現地妻を作りすぎたオオクニヌシが、正妻のスサノヲ娘・スセリビメをフォロー

・降臨後、ニニギの側近アメノウズメがサルタヒコと結婚、結ばれます。

ニニギがサクヤと結婚、初夜の翌日に妊娠が判明? 疑うニニギ。

・イケメン山幸彦が竜宮城で、山幸彦に一目ぼれのトヨタマと結婚

・神武天皇の二度目の結婚。その新妻の出生譚はかの… オヤジはオオモノヌシ。

オオモノヌシがまたまた美女ゲットのお話。親に気づかれずに寝取っちまった。。

垂仁天皇とサオビメとその兄の三角関係。子育てと後任の女を紹介させた天皇

垂仁天皇の皇子が出雲参りで一夜を共にした女は…

ヤマトタケル、待たされた新妻との初夜、妻はまさかの「あの日」

応神天皇が理想の女をゲット、かなり露骨な歌を送るほどに溺愛。

・応神天皇が見つけたのに、皇子が気に入り譲り渡されて、皇子はウハウハ

新羅の国王の子、超絶美形の日本人妻をゲットしてソッコー決める

・恐妻家過ぎてフラれた仁徳天皇。振った女は男作って、反旗ひるがえして

同母兄妹、禁断の情事 皇位を追われ、伊予に流されて心中する兄妹ふたり。

・雄略天皇、待たされた結婚に辛抱たまらず心情吐露した歌が過激すぎ。。

・雄略天皇、70年間忘れてしまった女との心の通い合いと、若い側室めっけて

このように列挙すると、やはりこれだけでも古事記の骨子は押さえられている感じがします。

1.和歌とも共通しているのですが、高天原ではSEXは禁じられていた? 天つ神による合体描写は、天孫降臨後のみ。

ただし、ストリップはあり。しかし、それも性的なものはあまり感じられない描写。もちろん、太陽が隠れるという、世界の終りという深刻な場面ではあるのですが。。

それとは対照的に、国つ神のドン・オオクニヌシ、お盛んです。登場回数に対する合体比率、高いです。

古事記では別々に語られている大物主神(おおものぬしのみこと=オオモノヌシ)も、古事記では美女二人(勢夜陀多良比売イクタマ)のゲット譚(つまりは“合体”譚)を収録しています。

このような、大らかな性描写も和歌と同様、国つ神のものだったのかもしれません。

さらに言えば、和歌=性という側面も強かったのかもしれないですね。古事記に収録されている歌の半分以上は恋歌です。もちろん和歌はそれだけではないですが。

さらにさらに、古事記のもう一人の英雄ヤマトタケル。皇族なので、天つ神と言えば、そうです。登場回数は多く、何人かの妻も登場しますが、合体描写は1回だけ。

2.雄略天皇後、そもそもが古事記終盤、分量も少ないですが、“合体”描写が一切なくなる。

という二点を指摘しておきます。

本稿を読んでいただければ、誤解はないと思われますが、「だから古事記はエロイ」「古事記は下品」などと言うつもりは毛頭なく、本サイトの副題にもつけた「古代ラブロマンス」の真骨頂がここにあるのであって、むしろ古事記リスペクトの本筋だと思います。

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