一言主大神18.雄略天皇
18-4.葛城の一言主大神


またある時、雄略天皇は葛城山に登りました。ところが、大きい猪が突然出てきて、天皇は鏑矢でその猪を射ようとしました。猪は怒って大きな口を開けて寄ってきます。軽~い、おっことぬし(by もののけ姫)。

恐れた天皇はハンノキに登って逃れ、そこで歌を歌います。

天下を統べる天皇の、
射ようとした猪の~
手負い猪の食いつくのを恐れ~
ワシは逃げ登った、
そりゃ必死に丘の上のハンノキの枝に~

おっことぬし縦480pxちょっとおまぬけ…ううぉほぉん。

また、やはり葛城山に登っていた時、百官に赤い紐をつけた青摺りの衣を下賜して、それを着せて登っていたところ、向こうの山の尾根伝いに登る人たちがおり、やはり天皇の行列のようだったので、雄略天皇は少しカチンと来て曰く。

雄略天皇「ありゃーあ、何の行列じゃ。この国の王はオレっち一人だけだっていうのによ。こっちの行列と瓜二つじゃねーか」
お供の者「そうっすね~、無礼っすね~」

となって、雄略天皇の激怒。向こうの行列に向かって弓に矢をつがえ、それを見たお付の百官もことごとく矢をつがえました。

雄略天皇縦480pxところが向こうの行列も同じように矢をつがえて戦闘準備。そこで雄略天皇は叫んで曰く。

雄略天皇「おうっ、いい度胸じゃねーか。じゃあ、それぞれ名乗ってから矢を放とうぜ」
謎の行列の主「名乗れと言われたから名乗ってやる。悪いことも一言、良いことも一言、言い分ける神である、葛城の一言主大神(ひとことぬしのおおかみ=ヒトコトヌシ)じゃ」
雄略天皇「おおー、ご高名な神様でございしたか」

というと、つがえていた矢を納め、剣も下ろし、百官の衣服も脱がし、献上品を急いで用意しました。ヒトコトヌシも献上品を納め、雄略天皇が帰る時、見送ってあげました。

事代主神(ことしろぬしのかみ=コトシロヌシ)縦480pxこのヒトコトヌシ、自分でも宣言していますが言霊の神。名前と性格の共通性から、大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ)の長男である事代主神(ことしろぬしのかみ=コトシロヌシ)と同体ではないかともされます。

国譲りでは、なす術もないような描写で、呪詛を吐いて入水し、高天原に下るしかなかったコトシロヌシでしたが、ここでは見事に天皇を屈服させています。しかもその屈服させた天皇が、かの雄略。。

神様の復権。

兄妹親戚殺しまくって、美女ゲットして、女の一生台無しにして泣かせてきた、古事記終盤のジャイアン・雄略天皇も神様にはかなわず、の巻。

神様からの「あんま、調子こくなよ」という警鐘のような説話です。

※画像は、「一言主大神」Google画像検索結果のキャプチャー

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【関連キャラ】
雄略天皇 - 古事記後半の主役は、傍若無人な暴君 
おっことぬし - 古事記に時々登場するイノシシな神
コトシロヌシ - 言霊・知恵の神様も国譲りでは敗退

【古事記の神・人辞典】
雄略天皇
おっことぬし
コトシロヌシ
ヒトコトヌシ

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