若日下王 雄略天皇18.雄略天皇
18-2.若日下王


雄略天皇は、兄でもあった故・安康天皇の遺志通り、いとこの大日下王(おおくさかのみこ)の妹・若日下王(わかくさかのみこ=ワカクサカ)を娶り、皇后としました。今までのドタバタ、ここから始まったのでした。

もともと雄略天皇と若日下王を結婚させようとした安康天皇が、家臣の讒言に基づいて大日下王を殺っちゃい、安康天皇は大日下王の遺子・眉輪王に復讐されディスられて、その眉輪王を殺したのが雄略天皇。

うーん、(女絡みの)憎悪の連鎖。

雄略天皇縦480pxまだワカクサカちゃんが日下にいる頃、雄略天皇は大和(現 奈良県)から河内(現 大阪府)を超える近道である日下の道を通って河内に行きました。その途中、屋根の上に鰹木を上げて作った家を見かけ、曰く。

雄略天皇「この鰹木を高く上げて作っている家は誰の家?」
お供の者「志幾の大県主の家、とのことです」
雄略天皇「天皇の御殿のようでダメ、気に入らね。燃やしちゃいな」
お供の者「はっ。早速っ」

一行が燃やす準備を始めたところ、慌てたのは大県主。雄略天皇の前に進み出て、頭を地にすりつけて曰く。

若日下王(わかくさかのみこ=ワカクサカ)縦480px大県主「学がなくって、何も知らずに作ったものでございますだ~、大変失礼をいたしました、お詫びのしるしに、少しばかりの贈り物をさせていただければ……」

と言って、犬を一匹献上、雄略天皇も赦し、家は燃やされずにすみました。

その後、ワカクサカちゃんのもとに着くと、雄略天皇が曰く。「これは途中の道で手に入れた珍しい犬。婚約のしるしに差し上げよう」

ワカクサカ「わざわざお越しいただきまして恐縮至極でございます。すぐに私の方が宮中に参ってお仕えさせていただきます」

そうして雄略天皇は宮に帰っていたが、途中、峠の山の坂の上で詠んだ歌。

日下部のこちらの山と、立ち並んだ平郡の山の、
あちらこちらの山の渓谷に~、
生い茂っている葉の広い熊樫。
その根の方には組み合った竹が生え、
その枝の彼方には茂った竹が生えている~
その組み合った竹のように、ワシとオマエとは、
まだ“くんずほぐれつ”してないけど~
後日たくさん“しよう”ね~
私の愛しい妻よ~

このおっぴろげな歌を使者に持たせて、ワカクサカちゃんのもとに送りました。

※画像は、「若日下王 雄略天皇」Google画像検索結果のキャプチャー

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【関連キャラ】
雄略天皇 - 古事記後半の主役は、傍若無人な暴君 
ワカクサカ - 暴君・雄略を馭するほどのほっこり姫

【古事記の神・人辞典】
雄略天皇
ワカクサカ

シキノオオアガタヌシ

ツブラオホミ
カラヒメ
清寧天皇
ワカタラシヒメ

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