髪長比売 大雀命13.応神天皇
13-4.長髪比売


応神天皇は、日向国(現 宮崎県)の諸県君(もろがたのきみ)の娘の髪長比売(かみながひめ=カミナガヒメ)が美しいと聞いて、宮中に召し上げました。

その時、皇子の大雀命(おおさざきのみこと)が、髪長比売が難波の港に泊まっているのを見て、その美しさに一目惚れ、何とか自分のものにしたいと思いました。

仁徳天皇縦480px建内宿禰大臣(たけうちのすくねのおおおみ=建内宿禰)に相談して曰く。

大雀命「オヤジに掛け合ってさ~、カミナガヒメちゃんをオレっちにくれないかお願いしてみて~」

建内宿禰は早速応神天皇に大雀命の意向を伝えたところ、応神天皇は快く(?)許しました。

その時のお話。

応神天皇は新嘗祭の日にカミナガヒメにお酒を注ぐ柏を持たせて、それを大雀命に渡させました。そして歌います。

さあ娘たちよ、
野蒜摘みに、蒜摘みに、
ワシが行こうとする道に、
香りのよい花橘が咲いている~

その橘の上の枝にある花は、
鳥がつついて枯らしてしまう。
下の枝の花は、人が取って枯らしてしまう。
中の枝の、まだ蕾のような、
赤い頬をした少女を、手に入れちゃいな~

さらに歌います。

水が溜まる依綱の池の、
杭を打つ人が、杭を打っているのも知らないで、
ジュンサイ採りが、手を差し伸べているのも知らないで、
わが心は大変愚かだった~
今では悔しくてたまらないよ~

として、応神天皇はカミナガヒメを大雀命に賜りました。よほど「いやいや」だったのでしょうか。口惜しさがにじみ出る歌です。軽~い、NTRでしょうね。

そこで大雀命は喜んで歌います。

都から遠く離れた美少女は、
雷の音のように、その評判が鳴り響いていたが~、
今はその美少女を組み敷いて、くんずほぐれつ~ イェイ~!

さらに歌います。

都から遠く離れた美少女は、
おれっちの言うこと何でも聞いて絶対服従~、
一緒に寝ているが~、何と愛しいおなごよ~ イェイ~!

※画像は、「髪長比売 大雀命」Google画像検索結果のキャプチャー。

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【関連キャラ】
カミナガ - 応神がしぶしぶ仁徳に譲り渡した美女
仁徳天皇 - 古事記中盤の主役はやはり女好きの御仁
応神天皇 - 自身の登場シーンがあまり多くない天皇
建内宿禰 - 応神の本当の父? 波乱呼ぶ伝説的人物

【古事記の神・人辞典】
応神天皇
仁徳天皇(大雀命)
建内宿禰

ウシモロ
カミナガヒメ

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