美夜受比売11.ヤマトタケル
11-6.妻・美夜受比売


倭建命(やまとたけるのみこと=ヤマトタケル)はその後、甲斐国(現 山梨県)から信濃国(現 長野県)に行き、信濃の坂の神を服従させてから、尾張国(現 愛知県)に戻ってきました。先の約束通り、美夜受比売(みやずひめ=ミヤズヒメ)との合タ…いや、結婚です。

美夜受比売は大いに歓待しましたが、ヤマトタケルは美夜受比売の着物に血がついているのを発見。美夜受比売は“あの日”だったわけです。そこでヤマトタケルが歌った歌は。

天の香具山に、昼の日中に飛んでいる白鳥のように、
か細く柔らかいあなたの腕を、私は抱こうとするが~

あなたと一緒に寝たいと願うが~ 
あなたの着物の裾には月が出ているよ~
(もしかして、今日はお預け? 勘弁してよ~)

そこで、美夜受比売が返した歌は。

光り輝く皇子よ、世界の隅まで支配なされるわが君よ~
新しい年が来て、また去っていく、
新しい月が来て、また去っていく。

だからあなたを待ちかねて~
私の着物の裾に月が立(経)っているのも当たり前でしょう~
(気にならないならおKよ!)

美夜受比売(みやずひめ=ミヤズ)縦480pxこうして二人はめでたく男女の契りを生むばれました。

“あの日”を「月が出ている」とか、「月が立(経)っている(=月経)」とか笑い飛ばして歌い合う姿が実に睦まじいです。“あの日”のチョメチョメはどちらかが嫌がる場合も多いのですが、二人は待つ時間が長かったためか、気にならなかったのですね~

ともかく、出血ということで、その後日本では女性の生理を不浄なものとして遠ざけていきますが、この頃は何と大らかなことか。。

あるいは、女性に生理はつきものなので、建前は嫌悪しつつも、本当は生理なんて気にしない~、というのが日本の“大人の時間”の伝統なのかも。それがこの伝説に現れているのかもしれません。

しかし、日本の神話はシモに直球~。これも古来からの伝統なのでしょうか~

※画像は、「美夜受比売」Google画像検索結果のキャプチャー。

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ミヤズ - 「生理だけど、何か?」の奔放な姫

【古事記の神・人辞典】
ヤマトタケル
ミヤズ

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