6.ニニギ
6-4.アメノウズメとサルタヒコ
筑紫(現在の九州)の日向(現在の宮崎県)の高千穂の峰に無事降臨した天孫・邇邇芸命(ににぎのみこと=ニニギ)。最初の仕事は、腹心の結婚問題?
ご存じ日本初のストリッパー・天宇受賣命(あめのうずめのみこと=アメノウズメ)に、ニニギに仕えるために途中まで出向ていた猿田毘古神(さるたひこのかみ=サルタヒコ)を薦めます。
古事記ではそこまでストレートには書かれていませんが、普通に読めば、また解釈的にも、そして伝承としても結婚とされているものです。
ニニギ「アメノウズメさ~ん、サルタヒコの名前聞いてきたんだから、彼を送ってあげなよ。それに名前ももらっちゃいな」
と命じて、アメノウズメはサルタヒコを送り、サルタヒコは故郷である伊勢国の五十鈴川の川上へ帰っていきました。名前を明かさせた=結婚、ということなのでしょうが、古代の風習のイメージとしては男が女の名前を聞くと結婚、かなと思いますが、女が男の名前、というのでもおKだったんでしょうか。
しかし仕えるためにわざわざ高天原の近くまで出向いたのに、いきなり返しちゃったり、帰って行ったり。深イイ事情があったんでしょう。
こうしてアメノウズメはサルタヒコから名前をもらって、「猿女君」と呼ばれるようになりました。「猿女君」はまわりまわって、稗田氏の祖となりますので、実は古事記の編集に語り部として参加したとされる稗田阿礼(ひえだのあれい)はアメノウズメの子孫でもあるわけです。
ご先祖のストリップを語っても問題ナシナシ、だったことから考えると、古代っておおらか。
アメノウズメとサルタヒコが結婚した場とされる荒立宮の後と伝わる荒立神社では、この二柱が国際結婚・安産の神として祭られているようです。天つ神と国つ神の結婚が国際結婚を連想させたのでしょうか。確かに、皇統における国際結婚はニニギから始まりますが、この時はまだ“運命の出会い”をしていなかったと思われますので、この二柱による、天つ神と国つ神の結婚は時期的にかなり早いと言えます。
さて、故郷に帰ったサルタヒコ、いきなり溺死してしまいます。海で漁をしていた時、比良夫貝(ひらふがい)に手を挟まれ、溺れてしまうのです。この際、海に沈んでいる時に「底どく御魂」、サルタヒコが吐いた息の泡が昇る時に「つぶたつ御魂」、泡が水面で弾ける時に「あわさく御魂」という三柱の神が生まれたとされます。部族の内紛と、分裂でしょうかね。
いきなり未亡人となったアメノウズメ。サルタヒコがまだ存命中の頃でしょうか、サルタヒコを送り届けて帰って来て、海の大小さまざまな魚たちを呼び集め曰く。
アメノウズメ「お前たち、天の神の御子様にお仕えするかえ?」
魚のほとんど一同「もちろん、喜んでお仕えしま~す!」
しかし海鼠(ナマコ)だけは何も言いませんでした。これに怒ったアメノウズメが曰く「この口は、答えることができない役立たずだ!」と、小さな刀でナマコの口を裂いてしまいました。だから今でもナマコは口が裂けているわけです。
本稿は思いのほか分量が多くなりました。いろいろ補足していったからです。古事記だけの分量だとこの部分あっけないほど短くて、それはそれで何のことかわからない、アメノウズメとサルタヒコの説話になっています。
アメノウズメがいきなり海の魚を呼び集めて問答してみたり、サルタヒコは海で漁をしている時に溺死したり、二人とも海に縁が深いのでしょうか。古事記そのものの連続性として、今後つながってくる海幸彦と山幸彦(海の中の宮殿や海の国が出てくる)への序曲でしょうか。
または、アメノウズメのナマコへの仕打ちは、ニニギ一派による海の支配を連想させ、その海でサルタヒコは死んだ、ということは。。今ではおしどり夫婦とされている二人にも、もしかして何か事情があったかもです。
というような想像を膨らませることができるのも神話のいいところです。
※画像は、「アメノウズメとサルタヒコ」Google画像検索結果のキャプチャー。
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【関連キャラ】
・ニニギ - ご存知天孫は、女心を傷つける女泣かせ?
・アメノウズメ - 炎のストリッパーはアマテラスの腹心
【古事記の神・人辞典】
・ニニギ
・アメノウズメ
・サルタヒコ
・底どく御魂 | つぶたつ御魂 | あわさく御魂
6-4.アメノウズメとサルタヒコ
筑紫(現在の九州)の日向(現在の宮崎県)の高千穂の峰に無事降臨した天孫・邇邇芸命(ににぎのみこと=ニニギ)。最初の仕事は、腹心の結婚問題?
ご存じ日本初のストリッパー・天宇受賣命(あめのうずめのみこと=アメノウズメ)に、ニニギに仕えるために途中まで出向ていた猿田毘古神(さるたひこのかみ=サルタヒコ)を薦めます。
古事記ではそこまでストレートには書かれていませんが、普通に読めば、また解釈的にも、そして伝承としても結婚とされているものです。
ニニギ「アメノウズメさ~ん、サルタヒコの名前聞いてきたんだから、彼を送ってあげなよ。それに名前ももらっちゃいな」
と命じて、アメノウズメはサルタヒコを送り、サルタヒコは故郷である伊勢国の五十鈴川の川上へ帰っていきました。名前を明かさせた=結婚、ということなのでしょうが、古代の風習のイメージとしては男が女の名前を聞くと結婚、かなと思いますが、女が男の名前、というのでもおKだったんでしょうか。
しかし仕えるためにわざわざ高天原の近くまで出向いたのに、いきなり返しちゃったり、帰って行ったり。深イイ事情があったんでしょう。
こうしてアメノウズメはサルタヒコから名前をもらって、「猿女君」と呼ばれるようになりました。「猿女君」はまわりまわって、稗田氏の祖となりますので、実は古事記の編集に語り部として参加したとされる稗田阿礼(ひえだのあれい)はアメノウズメの子孫でもあるわけです。
ご先祖のストリップを語っても問題ナシナシ、だったことから考えると、古代っておおらか。
アメノウズメとサルタヒコが結婚した場とされる荒立宮の後と伝わる荒立神社では、この二柱が国際結婚・安産の神として祭られているようです。天つ神と国つ神の結婚が国際結婚を連想させたのでしょうか。確かに、皇統における国際結婚はニニギから始まりますが、この時はまだ“運命の出会い”をしていなかったと思われますので、この二柱による、天つ神と国つ神の結婚は時期的にかなり早いと言えます。
さて、故郷に帰ったサルタヒコ、いきなり溺死してしまいます。海で漁をしていた時、比良夫貝(ひらふがい)に手を挟まれ、溺れてしまうのです。この際、海に沈んでいる時に「底どく御魂」、サルタヒコが吐いた息の泡が昇る時に「つぶたつ御魂」、泡が水面で弾ける時に「あわさく御魂」という三柱の神が生まれたとされます。部族の内紛と、分裂でしょうかね。
いきなり未亡人となったアメノウズメ。サルタヒコがまだ存命中の頃でしょうか、サルタヒコを送り届けて帰って来て、海の大小さまざまな魚たちを呼び集め曰く。
アメノウズメ「お前たち、天の神の御子様にお仕えするかえ?」
魚のほとんど一同「もちろん、喜んでお仕えしま~す!」
しかし海鼠(ナマコ)だけは何も言いませんでした。これに怒ったアメノウズメが曰く「この口は、答えることができない役立たずだ!」と、小さな刀でナマコの口を裂いてしまいました。だから今でもナマコは口が裂けているわけです。
本稿は思いのほか分量が多くなりました。いろいろ補足していったからです。古事記だけの分量だとこの部分あっけないほど短くて、それはそれで何のことかわからない、アメノウズメとサルタヒコの説話になっています。
アメノウズメがいきなり海の魚を呼び集めて問答してみたり、サルタヒコは海で漁をしている時に溺死したり、二人とも海に縁が深いのでしょうか。古事記そのものの連続性として、今後つながってくる海幸彦と山幸彦(海の中の宮殿や海の国が出てくる)への序曲でしょうか。
または、アメノウズメのナマコへの仕打ちは、ニニギ一派による海の支配を連想させ、その海でサルタヒコは死んだ、ということは。。今ではおしどり夫婦とされている二人にも、もしかして何か事情があったかもです。
というような想像を膨らませることができるのも神話のいいところです。
※画像は、「アメノウズメとサルタヒコ」Google画像検索結果のキャプチャー。
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【関連キャラ】
・ニニギ - ご存知天孫は、女心を傷つける女泣かせ?
・アメノウズメ - 炎のストリッパーはアマテラスの腹心
【古事記の神・人辞典】
・ニニギ
・アメノウズメ
・サルタヒコ
・底どく御魂 | つぶたつ御魂 | あわさく御魂
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