4.オオクニヌシ
4-6.嫉妬に狂うオオクニヌシの妻
ずいぶん奔放な、同時多発で数多い恋をしていた大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ)。日本中いたるところに現地妻がいたようで、そこに通うのもお勤めの一つ。日本中を旅しまくっていたのでしょう。
が、しかし。正妻である須勢理毘売命(すせりびめ=スセリ)は気が気ではありません。協力して黄泉の国のスサノヲのところからようやく逃げ出せてきたのに、現世に帰ってみれば現地妻を作りまくって、それを回りまくる夫。特段嫉妬深くなくても、これではたまりませんね。
困ったことに、スセリは人一倍、嫉妬深かったようです。因幡の絶世の美女神こと八上比売(やがみひめ=ヤガミ)が惚れて結婚したオオクニヌシと、子供ができた途端、子供を置いて実家に帰るほど、スセリのプレッシャーはすごかったのかもしれません。
古事記には、そうした場面におけるこの夫婦の歌のやり取りが載せられています。出雲から大和に旅立つオオクニヌシが、あまりにも心配げなスセリに対して送った歌の超訳は以下の通り。
これに応えて、スセリがオオクニヌシに送った歌の超訳。
先に紹介した沼河比売(ぬなかわひめ=ヌナカワ)の言い回しと共通している部分があり、それが当時のトレンドだったのでしょうね。でも、当時の慣習とは言え、渋々ながら、女囲っていることを承知している妻の健気さが伝わってきます。
二人は歌を交し合った後、酒杯も取り交わして、お互いの体を抱きしめ合って、「今日までそのお姿でお鎮まりになっていらっしゃる」とのこと。なんだかんだとおしどり夫婦なんですね(妻一応公認とは言え、夫は愛人多数だが)。
※画像は、「大国主命と須勢理毘売命」Google画像検索結果のキャプチャー。
【関連記事】
・【古事記を彩る姫たち】スセリ - 嫉妬深くも、女好きオオクニヌシを包容する偉大な女神
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・出雲大社石見分祠 - 『古事記』の大国主神と妻のやり取りが三々九度の由来、正月に出店
【関連キャラ】
・オオクニヌシ - 国つ神のドンは破天荒な女好き
・スセリ - オオクニヌシ大好きすぎて拗ねる女神
【古事記の神・人辞典】
・オオクニヌシ
・スセリ
4-6.嫉妬に狂うオオクニヌシの妻
ずいぶん奔放な、同時多発で数多い恋をしていた大国主命(おおくにぬしのかみ=オオクニヌシ)。日本中いたるところに現地妻がいたようで、そこに通うのもお勤めの一つ。日本中を旅しまくっていたのでしょう。
が、しかし。正妻である須勢理毘売命(すせりびめ=スセリ)は気が気ではありません。協力して黄泉の国のスサノヲのところからようやく逃げ出せてきたのに、現世に帰ってみれば現地妻を作りまくって、それを回りまくる夫。特段嫉妬深くなくても、これではたまりませんね。
困ったことに、スセリは人一倍、嫉妬深かったようです。因幡の絶世の美女神こと八上比売(やがみひめ=ヤガミ)が惚れて結婚したオオクニヌシと、子供ができた途端、子供を置いて実家に帰るほど、スセリのプレッシャーはすごかったのかもしれません。
古事記には、そうした場面におけるこの夫婦の歌のやり取りが載せられています。出雲から大和に旅立つオオクニヌシが、あまりにも心配げなスセリに対して送った歌の超訳は以下の通り。
ぶっちゃけ、いろいろと現地妻作っているし、
正直、女たくさんいるわ。
でも、その中でも俺に似合っているのはなかなかいねえよ。
沖の鳥が気に入ってくれたのは出雲にいるただ一人だったよ
(つまり、オマエだけだ)。
いとしい妻よ、お前は俺が遠くに旅立っても
泣かないとか強がっているけど、
陰では泣いているんだろう。
知ってるぜ。無理すんなっ。
若草のような若々しいお前が一番さ。
正直、女たくさんいるわ。
でも、その中でも俺に似合っているのはなかなかいねえよ。
沖の鳥が気に入ってくれたのは出雲にいるただ一人だったよ
(つまり、オマエだけだ)。
いとしい妻よ、お前は俺が遠くに旅立っても
泣かないとか強がっているけど、
陰では泣いているんだろう。
知ってるぜ。無理すんなっ。
若草のような若々しいお前が一番さ。
これに応えて、スセリがオオクニヌシに送った歌の超訳。
ええ、ええ、ええ、ええ、よく知っていますよ。
至る所にあなたが女囲っていることは。
それはそれは若草のように若く美しい
女子ばかりなのでしょうね。
でも私は女の身、夫はあなた一人です。
お家の柔らかいお布団の上で、
私の細くつややかな腕、淡雪のような白い私の乳房を、
そっと触ってください。
手をぎゅうっと握ってくださいな。
玉のような美しい私の手を絡めて、
足を延ばして、くつろいでくださいな。
おいしいお酒をお飲みくださいな。
至る所にあなたが女囲っていることは。
それはそれは若草のように若く美しい
女子ばかりなのでしょうね。
でも私は女の身、夫はあなた一人です。
お家の柔らかいお布団の上で、
私の細くつややかな腕、淡雪のような白い私の乳房を、
そっと触ってください。
手をぎゅうっと握ってくださいな。
玉のような美しい私の手を絡めて、
足を延ばして、くつろいでくださいな。
おいしいお酒をお飲みくださいな。
先に紹介した沼河比売(ぬなかわひめ=ヌナカワ)の言い回しと共通している部分があり、それが当時のトレンドだったのでしょうね。でも、当時の慣習とは言え、渋々ながら、女囲っていることを承知している妻の健気さが伝わってきます。
二人は歌を交し合った後、酒杯も取り交わして、お互いの体を抱きしめ合って、「今日までそのお姿でお鎮まりになっていらっしゃる」とのこと。なんだかんだとおしどり夫婦なんですね(妻一応公認とは言え、夫は愛人多数だが)。
※画像は、「大国主命と須勢理毘売命」Google画像検索結果のキャプチャー。
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【関連キャラ】
・オオクニヌシ - 国つ神のドンは破天荒な女好き
・スセリ - オオクニヌシ大好きすぎて拗ねる女神
【古事記の神・人辞典】
・オオクニヌシ
・スセリ
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