
2-4.黄泉の国
黄泉に着いたイザナギは、戸越しにイザナミと会話します。
イザナギ「まだ国土できてないじゃん、一緒に帰って、また頑張ろうっ」
イザナミ「黄泉の国の食べ物たべたんで、もう生き返ることできないの」
んんっ、じゃあ、黄泉の国の食べ物たべなかったら生き返ることができた? じゃあ、なんで食べたの? 黄泉の国の人に騙された? もう生き返る気ゼロだった? 「イザナギなんてもう忘れたわ、黄泉でよろしくやったるわっ」という感じ? イザナミ死んで号泣したイザナギ、何だかカワイソス。

キタコレ!
神話や昔話お決まりの「こっそり覗くなよ」=「覗いてからお話の展開始まります」パターン。で、イザナギもご多分にもれず覗きます。
覗き見たイザナミの、その姿たるや、「体は腐って蛆がたかり、声はむせびふさがっており、蛇の姿をした8柱の雷神(八雷神)がまとわりついていた」。イザナギ即幻滅。八雷神の一人(折雷)はイザナミの女陰にぶら下がっていたとか。しっかし、ここまで女陰が説話に盛り込まれる女神って。。
覗かれたことに気付いたイザナミは激怒。
怒れるイザナミ、怖気つき逃げるイザナギを追うの巻。
最初に追ったのはイザナミ本人ではなく、黄泉醜女(よもつしこめ=ヨモツシコメ)。この鬼女がまたすごい。恐ろしい顔であるのは名前から想像できますが、一飛びで千里(約4,000キロメートル)を走れるんだそうです。結果的に黄泉醜女をまいたイザナギは(各種足止め作戦はあったけど)それ以上の速さで走れたの? ってか、どんだけの追撃戦?
恐ろしい黄泉醜女から、イザナギは逃げに逃げまくり、頭に載せていた蔓草を投げ捨てると、それがみるみる葡萄の実になり、黄泉醜女はその葡萄をむしゃむしゃ食べ始める。その隙にもちろんイザナギはすたこらさっさと逃げまくる。
まだ追ってくる黄泉醜女。恐怖におののくイザナギは右の髪に差していた竹の櫛を投げた。すると今度はタケノコが生え、黄泉醜女はまたもそのタケノコをむしゃむしゃむしゃ。どんだけ腹減っているの? というか、イザナミが食わしていないだけ? とにかくこれで黄泉醜女のイザナギ追撃は失敗。
イザナミはさらに八柱の雷神(もちろん女陰にいた折雷も含む)と黄泉軍を追撃戦に投入。軍の数、実に1500人。イザナギ危うし。

葡萄、タケノコ、桃に助けられたイザナギ。黄泉比良坂を1000人がかりでなければ動かないというような大岩でふさぎます。でも黄泉軍は1500人以上いるはずだから動かせないことはないのだが。。
ふさがれた後、黄泉側にはイザナミが到着。岩をはさんだ夫婦の対面の場面です。
怒り狂ったイザナミとそれをいなすイザナギの言葉が有名です。
イザナミ「あたし、これから毎日、1日に人間1000人ずつ殺しちゃうよっ」
イザナギ「それならオレ、毎日人間に、1日に1500人ずつ生ませたる!」
神話解釈的にはイザナミは黄泉の神に、イザナギは現世の神に、これで確定したのでしょう。下世話に言えば、離婚。
人間は毎日、病気・事故などで多く亡くなっていますが、それがなんとイザナミの呪いだったとは。。しかし、今のところ、それで絶滅の方向に進んでいないのは、イザナギの請願があるからなんですね~。でも人口は確実に減っている日本。イザナミの呪いが強まったか。イザナギの請願が弱まったか。どちらでしょう?
神世七代の時代、間もなく終焉を迎えます。
※画像は、「イザナギ イザナミ 黄泉」Google画像検索結果のキャプチャー。
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【関連キャラ】
・イザナギ - 日本のとーちゃんはオクテだった?
・イザナミ - 自分から男を誘う積極的な女神
・ヨモツシコメ - 腹空かせすぎ?な黄泉の国の超人
【古事記の神・人辞典】
・イザナギ
・イザナミ
黄泉の国でイザナミの体に宿った八雷神
・オオイカヅチ - 頭
・ホノイカヅチ - 胸
・クロイカヅチ - 腹
・サクイカヅチ - 女陰
・ワカイカヅチ - 左手
・ツチイカヅチ - 右手
・ナルイカヅチ - 左足
・フスイカヅチ - 右足
・ヨモツシコメ
・オオカムズミノミコト
・チカヘシノオオカミ
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