平安初期『大同類聚方』に「宇多之味坂薬」、室生龍穴神社へ渡御
味坂比売命神社 奈良県宇陀市榛原荷阪32
[住所]奈良県宇陀市榛原荷阪32
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味坂比売命神社(みさかひめのみことじんじゃ)は、奈良県宇陀市榛原荷阪にある神社。近鉄大阪線の榛原駅の東約6.5キロ。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「味坂比賣命神社(大和国・宇陀郡)」に比定される式内社(小社)。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。平安時代初期の大同3年(808年)に著された『大同類聚方』に、神祇官西院所伝の薬方「宇多之味坂薬」が記載されている。

これが当社伝来の神方薬(しんぽうやく)とされており、この頃には当社が存在し、その伝来の薬が著名で、よく知られていたことが分かる。

「宇多之味坂薬」は咳甚々出る或は蟲を吐く者に用いる薬だといい、五種類の薬草とその調合割合が記されている。

その後の由緒も不詳。式内社名の読みは、「みさか」の他、「みそさか」とも。地名の荷阪は当社にちなむと考えられるが、荷阪とも、荷阪とも表記される。

『宇陀郡史料』によれば、当社例祭では、当社東方にある室生龍穴神社へ渡御の儀式があったという伝えがある。

当社境内には、本殿の玉垣内の右手に一基、江戸時代中期の宝永5年(1708年)、「龍王大明神」の刻銘がある石灯籠がある。

ただし現在、当社から室生龍穴神社へ直通に進むような道はなく、相当迂回しなければならないようになっている。

御祭神は味坂比売命だが、詳細は不詳。度会延経『神名帳考証』では御祭神を須勢利姫命としている。例祭は8月30日。

越前国坂井郡の式内社に「味坂神社」があり、その論社の一つである福井県福井市深坂町の味坂神社でも御祭神を味坂比売命としている。

【ご利益】
病気平癒、リフレッシュ、身体壮健、安産
味坂比売命神社 奈良県宇陀市榛原荷阪
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