「石に御霊を留座する神」以前は投石神事、今は獅子舞
[住所]三重県いなべ市藤原町下野尻951
[電話]0594-74-2489

春日神社(かすがじんじゃ)は、三重県いなべ市藤原町下野尻にある神社。三岐鉄道の西野尻駅の東約1.5キロ。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「石神社(伊勢国・員弁郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。下野尻春日神社とも呼ばれる。

創祀年代は不詳。古くは「伊原宮」と称した。『員弁郡郷土資料』が当社を式内社「石神社」に比定している。

それによれば、御祭神は少名彦命で、境内に夜ごとに光を発する霊石が存し、これを敬った平安時代前期の公卿である春澄善縄が社を建立して「石神社」と称したという。

後述の「投石の神事」もそれに由来すると考えられる。なお、式内社「石神社」の論社は他に、市内の藤原町石川北勢町飯倉に式内同名神社がある。

また、伊勢国には鈴鹿郡にも同名の式内社があり、鈴鹿市山本町御旅の椿大神社に合祀されたもの、亀山市三寺町の当社および式内同名神社が論社である。

『伊勢輯雑記』によれば、当社は白瀬七郷の惣社として、往時は大社の結構であったと記し、『員弁雑誌』は現下野尻、西野尻両町の産土神で、「往古は壮大なる社なりし」。

江戸時代後期の文政7年(1824年)「村明細帳」には「春日大明神」と記され、明治5年(1872年)「村明細帳」には「石原神社」とされている。

明治45年(1912年)、村内の八天宮、水神、山神、塞神という小祠を合祀した。主祭神は少名彦命(少名毘古那命)で、「石に御霊を留座する神」であるという。

現在までに、大山祇神火産霊神八衢比古神・八衢比売神・久那斗神・磐長姫命武甕槌神天児屋根命経津主命罔象女神を合祀する。

例祭は10月体育の日前後の日曜日で秋祭。江戸時代前期までさかのぼるとされる獅子舞が伝わる。「下野尻春日神社奉納獅子舞」として、市の無形民俗文化財に指定されている。

獅子舞は獅子と天狗役で演じられ、獅子は春と秋を表す「狂乱牡丹の舞」と「菊の舞」の二つの舞を、天狗は獅子に寄り添って舞の案内や手助けをする。

獅子の舞は四方から襲ってくる災厄を追い払いながら毛繕いをしたり眠ったりと、動物の自然の仕草を取り入れた素朴な舞で、豊作と地域の安全を祈願する。

また囃子も奏されるが、これは絣の着物に花笠をつけた子供たちが、大人の笛に合わせて太鼓や鉦などの楽器を奏でるものである。

現在使われている獅子頭は嘉永2年(1849年)に作られた貴重なもの。なお、明治以前の祭日は8月14日だった。

『員弁郡郷土資料』によれば、祭礼に際して氏子は白石を捧げた後に「投石の神事」があった。「石に御霊を留座する神」にちなむもの。

室町時代の応永年間(1394年-1428年)、いずれかの祭日においての「投石の神事」が、いつのまにか石合戦に発展したため、以来、禁止された。

【ご利益】
病気平癒、身体壮健、厄災除け、無病息災
春日神社 三重県いなべ市藤原町下野尻
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