当地開拓の物部氏の一族が奉祀した物部神社、室町期の狛犬
八所神社 愛知県西春日井郡豊山町大字豊場字木戸71-1
[住所]愛知県西春日井郡豊山町大字豊場字木戸71-1
[電話]0568-28-0135

八所神社(はっしょじんじゃ)は、愛知県西春日井郡豊山町にある神社。名古屋空港のすぐ西、東には名古屋高速11号線小牧線が南北に走る。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「物部神社(尾張国・春日部郡)」に比定される式内社(小社)の論社。八所社(はっしょしゃ)とも。

創祀年代は不詳。この地を開拓した物部氏の一族が、氏神である石上神宮より勧請して創建したと伝わる。

一方、『愛知県神社名鑑』によれば、奈良時代直前の和銅2年(709年)、熱田八剣宮を勧請し、祀ったと伝えられる、とも。

御祭神は宇摩志麻治命。石上神宮も熱田神宮も、いずれも物部と関係はしているが、直接、宇摩志麻治命を祀るものではない。

式内社「物部神社」は『尾張国内神名帳』春日部郡の「従三位 物部天神」でもある。他の論社に、春日井市二子町の白山神社が合祀したものがある。

かつては式内社名通り物部神社、あるいは物部八所大明神とも呼ばれた。安土桃山時代、織田信長が社領として田地八町歩を寄進したという。

その後、後述のように当地に因縁ある豊臣秀吉により同地を没収されたが、松平忠吉が信長の朱印入り神領文を見て、改めて20石を寄進した。

尾張藩3代藩主である徳川綱誠の側室、梅津の方が男児出生を祈願し、太刀一振りと葵紋の大提灯一対を奉納、これが現在も社宝として残っている。

江戸時代末期から明治時代初期にかけて刊行された尾張国の地誌『尾張名所図会』にも、「常安寺・物部神社」として、当社のことが記載されている。

明治元年(1868年)、現社号に改称した。社家は代々、松浦家が務める。町の文化財に指定され、普段は一般公開されていない、室町期の特徴を示す狛犬がある。

例祭は10月10日。舞台で伝統的な節で笛や太鼓が演奏され、当社の周りに多くの屋台が出る、町内で最大の祭典。

物部氏が古来より天皇の延命・長寿・子孫繁栄の祈願を担っていたことから、当社には健康長寿、病気平癒に御利益があるともされている。

境内末社に、神明社(天照皇大神)、源大夫社(乎止与命)、八幡社(誉田別命)、須佐之男社(須佐之男命)、愛宕社(火具都知神)、御田社(御食津神)、稲荷社(倉稲魂命)、多度社(一目連命)、白山社(菊理姫命)、富士社(木花開哉姫命)がある。

他に、近隣諸集落で奉祀されていた熊野社・諏訪社など小社を大正年間(1912-1926年)に合祀したという、寄せ宮がある。

当社から南南東約1キロに青塚があり、冨士神社が鎮座している。当社の御祭神の墳墓と伝えられる古墳である。

天正12年(1584年)、小牧・長久手の戦いにおいて秀吉側の砦が築かれ、「鬼武蔵」森長可が布陣した。『名所図会』によれば、秀吉自らがこの塚に登り、撤兵の指揮を執った。

【ご利益】
一族・子孫繁栄、事業成功、厄災除け
八所神社 愛知県西春日井郡豊山町大字豊場字木戸
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