垂仁朝の創祀、神服連海部直の子孫が物部の祖神を祀る
矢田神社 京都府京丹後市久美浜町海士NO1
[住所]京都府京丹後市久美浜町海士
[電話]-

矢田神社(やたじんじゃ)は、京都府京丹後市久美浜町海士にある神社。京都丹後鉄道宮豊線のかぶと山駅の南東約2キロ。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「矢田神社(丹後国・熊野郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

社伝によると、第11代垂仁天皇の御代、河上摩須によって勧請された。『古事記』には丹波之河上之摩須郎女が記載されている。

丹波比古多多須美知能宇斯王と結婚し、垂仁天皇の後の皇后である比婆須比売命などをもうけた。丹波郡にも同名の式内社があり、やはり丹波比古多多須美知能宇斯王とその娘に関連した由緒が伝わる。

海部直の子孫が代々祝として仕え、もと橋爪村の安田に祀っていたが、中世になり現在地に移転したという。

この安田は「やすだ」ではなく、もとは「あた」だった可能性があるという。「あた」「わた」「やた」はいずれも同じことで、海の意。

古来、橋爪・海士両所の氏神。御祭神は建田背命。配祀の神々は和田津見命・武諸隅命。和田津見命は、「あた」との関わりが考えられる。

建田背命・武諸隅命は、物部氏の祖神であることから、丹後地方に繁栄した物部氏の末裔が、その祖神を祀ったものと考えられる。

奈良県大和郡山市の矢田町には、物部氏祖神である饒速日命を祀る矢田坐久志玉比古神社が存在する。丹後国にも与謝郡の式内社に矢田部神社がある。

『熊野郡誌』には、「海士の地は往古神服連海部直を居住地にして、館跡を六宮廻(ろくのまわり)といふ」とある。

摂津国 島上郡の式内社に、服部郷に神服神社があり、現在の大阪府高槻市。神服氏の本貫地だろうとされる。

また、「海部直は丹後国造但馬国造の祖にして、扶桑略記にも丹波国熊野郡川上庄海部里爲國府とあり」とする。

さらに、「されば海部直の祖たる建田背命及其御子武諸隅命、和田津見命を斎き祀れるも深き由緒の存ずる所」とある。

ちなみに、海部氏に伝わる系図によると、始祖は天火明命であり、饒速日命と同神とされている。

なお、『丹後舊事記』には豊宇気持神、『特選神名牒』には矢田部姓の祖神である鴨建津身神を祀るとある。

近世、真言宗の寺が別当となり、誤って唵賀大明神と称したとも。矢田明神とも、文永年間(1264年-1275年)や天正年間(1573年-1593年)の棟札に「矢田神社」とある。

明治45年(1912年)、神饌幣帛料供進社に指定された。境内社に、蔭森神社(淡夜別命)、山王神社(大山祗命)、山神神社(大山祗命)がある。

なお、式内社「矢田神社」の論社は他に、佐野の矢田八幡神社がある。また、与謝郡の式内社に、物部神社がある。

【ご利益】
地域安全、一族・子孫繁栄
矢田神社 京都府京丹後市久美浜町海士NO2
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