青玉比売命を祀る式内論社、特殊神事の祭馬式
八幡神社 静岡県伊豆市小土肥707
[住所]静岡県伊豆市小土肥707
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八幡神社(はちまんじんじゃ)は、静岡県伊豆市小土肥にある神社。小土肥海岸の近く、県道17号線沿い。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「青玉比売命神社(伊豆国・那賀郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

当社の北100メートルほどの小土肥大川の側には、式内社「國玉命神社」の論社である國玉神社(国玉神社)がある。

17号線からも目立つ大きな明神鳥居。扁額には「八幡宮」とある。鳥居は大きいが、社殿や境内は質素。神紋は五三桐。

創祀年代は不詳。一説に、奈良時代の宝亀年間(770年-781年)の創祀とも。御祭神は八幡らしく応神天皇とされることが多いが、『静岡県神社誌』には、青玉比賣命とある。

これが式内根拠のようだ。式内社「青玉比売命神社」は『伊豆国神階帳』に「従四位上 青玉姫の明神」とある。他の論社に、沼津市の淡島の厳島神社(淡島神社)がある。

また、相殿に大鞆和気命、天児屋根命を祀り、さらに三島大明神も配祀する、という。そのため、八幡とも、三島とも、春日とも、呼ばれたという。

現在でも氏子の一部は、三嶋大社の御分霊を勧請して奉斎したもの、と信じている人もいるという。

当地の総鎮守大明神として崇敬され、明治6年(1873年)9月、村社に列した。例祭は10月16日。海で身を清めたあと流鏑馬を行う特殊神事があるという。

昔、戸田村で使われていた農耕馬が使えなくなると、自然に放していたが、解放された馬はやがて作物・樹木などに被害を及ぼすようになった。

特に小土肥はその被害が大きかった。ある年の冬、村人総出で馬を1ヶ所に追いやり、山に火をつけ焼き殺した。

しかしその翌年、大津波が伊豆半島西海岸一帯の村を襲い、小土肥の被害は大きく、多くの死者が出た。

食糧不足や悪疫に村人は苦しみ、このことから馬の霊をなぐさめる祭典が行われるようになったのが起源だという。馬祭り、祭馬式とも。

当社には金扇、金幣、金盃の三種の社宝があった。金扇は社の側に扇田から、金幣はかへい田から、金盃はサカモリ田という場所から出現した。

しかし、明暦(1655年-1658年)・天保(1831年-1845年)の火災によって焼失したという。

【ご利益】
厄災除け、地域安全
八幡神社 静岡県伊豆市小土肥
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