鴨氏交易ルート、本殿彫刻は正胤、樹齢1500年の大イチョウ
鴨神社 兵庫県丹波市市島町梶原537
[住所]兵庫県丹波市市島町梶原553-1
[電話]0795-85-0195

鴨神社(かもじんじゃ)は、兵庫県丹波市市島町梶原にある神社。福知山線の市島駅の南。国道175号線から県道138号線に入り南進。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』丹波国氷上郡にある「伊尼神社」「神野神社」「知乃神社」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では郷社。

創祀年代は不詳。当社の起源を、現在は円通寺がある山中に鎮座した賀茂大明神とするものがあるが、これは誤りか。

室町時代に円通寺ができた際、賀茂大明神は御油の地に遷座(現在の神野神社)し、北田井にも分祀された。ちなみに、この神野神社は式内社「神野神社」の論社。

この北田井の分祀が当社だという。ただし、この北田井の分祀はおそらく現在の氷上町賀茂に鎮座する賀茂神社のことだと思われる。

当社そのものの由緒でも、室町時代の応永28年(1421年)に本殿が再造営された記録が残り、これは神野神社とも共通する。

この辺りで混同が起きたか、当社の由緒の応永造営は、北田井の分祀が当社のことと思われたことによる後付けの可能性もある。

一説に、朝鮮半島南部、九州、日本海沿岸を拠点とする渡来系の豪族だった鴨氏が、鉄、銅、玉などを交易していた。

その交易のため、由良川を遡上し、福知山の荒木からこの地に定住し、鴨庄など鴨の地名の多い豊かな地区を形成したもの、だという。

当社は江戸時代初期の元和元年(1615年)、江戸時代前期の延宝8年(1680年)、それぞれ再建された。

明治6年(1873年)、村社に列し、大正13年(1924年)には郷社に昇格した。御祭神は鴨別雷神。例祭は7月30日。

本殿向拝の竜は左上方を睨み、髭は白めっき、目の後方は朱色、朱色の残る宝珠をぎゅっと掴んでいる。

柏原の中井権次正胤の60歳時の作であるという。鳥居の扁額も大正3年(1914年)、正胤の筆になるもの。

境内社に、稲荷神社・柿本神社・下鴨神社、他にも八幡・春日・貴船の各社、大神宮、金毘羅宮、庚申堂、厳島神社などもある。

本殿から東に少し離れた、一の鳥居の脇に大イチョウが立っている。推定樹齢1500年、幹周5.9メートル、樹高14メートル。

痛みが激しく、治療が施されたことが側の石碑に記されている。県の天然記念物に指定されている。また、当社の社叢は田圃の中に浮かぶように存在している。

なお、式内社「伊尼神社」の論社は他に、市内氷上町新郷に式内同名神社が、「知乃神社」の論社は他に、市内市島町南にやはり式内同名神社がある。

【ご利益】
厄災除け、五穀豊穣、事業成功
鴨神社 兵庫県丹波市市島町梶原
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