室町中期の重文本殿、10月「ホーヤホー踊り」、夜なき石
[住所]兵庫県三田市貴志1100-1-1
[電話]079-568-1251 - 駒宇佐八幡神社

御霊神社(ごりょうじんじゃ)は、兵庫県三田市貴志にある神社。貴志御霊神社とも。御朱印の有無は不明。

創立年代は不詳。往古は貴志宮、あるいは貴志神社と称し、大比古命・比売命を奉祀していたと伝えられる。

室町時代の文明2年(1470年)、村人たちによって本殿が再建された。これが現存する。当時の神仏習合を表現したものが残り、国の重要文化財に指定されている。

三間社春日造、桧皮葺。正面3間、側面2間、屋根は入母屋造妻妻入の庇を延ばして、向拝とする変形である。

木鼻の象頭は左右ともに開口の「阿形」で、彫刻には種子キヤ(十一面観音)が見られる。その他の細部の手法にも優れた室町時代中期の特徴が出ている。

その後、伊弉諾命伊弉冊命を合祀し、後に鎌倉権五郎景政の霊を勧請し、現社号に改称したという。

鎌倉景政を祀る神社は神奈川県に多数あり、藤沢市宮前の同名神社が総本社ともされ、鎌倉坂ノ下が有名ではあるが、関西のこの地方では稀。

鎌倉景政が当社で祀られるようになった、その経緯については不詳。ただの合祀ではなく、社名変更を伴うもの、というほどの何か大きなことがあったか。

例祭は、10月体育の日の前日で秋祭り。市指定無形民俗文化財の田楽「ホーヤホー踊り」が奉納される。

氏子から選ばれた「十人衆」のうち6人が、薄い板を連ねた楽器ササラや締太鼓を鳴らして「ホーヤホー」と唱え、中腰で前かがみになって3歩ずつ、前進と後退を繰り返す。

田楽は神殿から神輿に移る御神体を人目にさらさないよう、面白おかしい所作で視線を集めるために奉納するとされるが、その特徴をよく残す。

みこしと太鼓台が参道を往復して境内に戻ると、十人衆のうちの年長3人が、両腕を広げて上半身をかがめたり反らしたりする「蛙跳び」を行う。

社宝である神事講名簿は、戦国時代の永禄元年(1558年)から明治45年(1912年)まで、祭礼に参加した役名や人物名などを書き留めたもので、市の文化財に指定されている。

境内には、「貴志のぬけ石」2基があり、陰陽にたとえて「夫婦石」とも。その一つが、「夜なき石」で、古くから当社の神事で酒を造る際に使用されていたもの。

江戸時代に入り、三田藩主となった九鬼家の庭石にしたところ、毎夜、「神社に戻りたい」と泣き出したので、再び境内に戻すと泣き止んだと伝えられている。

【ご利益】
一族・子孫繁栄、夫婦和合、諸願成就
御霊神社 兵庫県三田市貴志
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