「あまたらし」、式内「和多都美豊玉比売神社」、往古は相当な大社
[住所]徳島県徳島市不動西町4-2024
[電話]088-642-5019

雨降神社(あまたらしじんじゃ)は、徳島県徳島市不動西町にある神社。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 南海道神 阿波国 名方郡「和多都美豊玉比売神社」「天石門別豊玉比売神社」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

創祀年代は不詳。当社公式サイトでは、式内社「和多都美豊玉比売神社」としている。『日本三代実録』元慶7年(883年)12月2日には従五位上が授けられた。

当社の東西南北1.5キロほどの地点に、四つの鳥居が今も残っている。遥拝所との指摘もあるが、四方に遥拝所が設けられる例はあまりない。

少なくとも、当社域がこの四方の範囲にあったことをうかがわせるもので、往時は相当の大社だったことは間違いない。

江戸時代中期の天明2年(1782年)編纂『阿府志』には「和多都美豊玉比売神社南新居村ニアリ 俗ニ雨降ノ宮ト云」とある。

また、「是神社ニ村民雨ヲ祈ルコトアレバ 前池ヨリ小蛇出テ木ニノボル 果シテ雨降ルト云 上古者座並祈年国幣アツカリ玉フ 今ハ微ナリ」とされる。

また『阿波志』にも、「雨降祠 新居南村にあり 前に池あり 雨乞すれば必ず応ず」とある。

近世では雨降大明神と称したが、明治3年(1870年)、現社号に改称し、明治8年(1875年)には村社に列した。

御祭神は、豊玉媛命。公式サイトでは豊玉姫と表記している。式内社名からは豊玉比売神だと考えられる。

当社名は普通に読めば「あめふり」。「あまたらし」と伝わってるのは、もとは天降、あるいは天帯だったため、との指摘がある。

『古事記』序文には、『古事記』の表記が、その時点でも難解だった一例として、下記の一文が記載されている。
亦於姓日下謂玖沙訶 於名帶字謂多羅斯
(また姓において日下を「くさか」といい、名に於いて帯を「たらし」という)
天帯ということで言えば、第5代孝昭天皇の皇子に、天押帯日子命と大倭帯日子国押人命がいる。大倭帯日子国押人命は第6代孝安天皇のこと。

孝昭天皇は、やはり式内社である名東郡佐那河内村の御間都比古神社で祀られており、当社の本来の御祭神も孝安天皇ではないか、ともされる。

ちなみに、不動東町にはやはり式内社の天佐自能和気神社があり、孝安天皇の子、第7代孝霊天皇の皇子にあたる日子刺肩別尊を祀る。

ともかく、平成23年(2011年)の台風により社殿に被害を被り、御神体は西隣りの八幡神社に仮遷座していたが、近年、近代的な社殿が整備された。

例祭は10月23日で秋祭。4月第2日曜日が太々神楽祭、7月4日が夏祭、8月1日が五穀豊熟祭。

なお、式内社「和多都美豊玉比売神社」の他の論社に、市内国府町の王子和多津美神社がある。

また、「天石門別豊玉比売神社」の他の論社に、市内伊賀町の国瑞彦神社に合祀された竜王祠、今は市内眉山町大滝山の春日神社の境内社になっている竜王宮がある。

【ご利益】
祈雨・天候、厄災除け、子宝・安産(公式HP
雨降神社 徳島県徳島市不動西町
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