凡河内直氏と同姓、ではなく賀茂の系譜? 無格社にとどまった式内
室津神社 高知県室戸市室津字船久保3241
[住所]高知県室戸市室津3241
[電話]-

室津神社(むろつじんじゃ)は、高知県室戸市室津にある神社。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 南海道神 土佐国 安芸郡「室津神社」に比定される式内社(小社)。近代社格では無格社。

創祀・創建年代は不詳。『続日本記』神護景雲元年(767年)6月の条に、土佐国安芸郡小領凡直伊賀麻呂が奈良 西大寺に、稲2万束と牛60頭を献上した記録がある。

この凡直氏は、凡河内直氏と同姓とされ、当社はその祖神である天津彦根命を祀ったものだという。

ただし、正確には、凡直氏は凡河内直氏とは同姓ではなく、その祖も長阿比古であるという。

長阿比古は、事代主命の子孫を称し、第13代成務天皇の御世、長阿比古と同祖の三島溝杭命の九世孫の小立足尼を都佐国造に定めたとされる。

小立足尼の後裔の都佐国造も事代主命系の豪族とされ、その氏姓として、凡直を称したという。土佐における、土佐神社を筆頭とした、三嶋(三島)、あるいは賀茂の系譜、ということになる。

当社は、もとは高野内に鎮座していたが、その地は室津川が急に北から西南に流れを変える所で、台風などによる水害も多かったため、いずれかの時期に現在地に遷座したという。

南北朝時代の康永3年(1344年)には「雨津社」、安土桃山時代の天正15年(1587年)には「天ノ神」、江戸時代には「天津大明神」と称していたという。他に天津社などとも。

明治になり、現社号に復称したという。近代社格では無格社であるが、当時の情勢において、式内社が無格社にとどまる、というのは珍しい部類で、何か事情があったものか。

境内社に、天神社・星神社がある。広島玉に乗った、笑い顔の狛犬がある。

なお、一般に、「室津神社」といった場合、兵庫県たつの市御津町室津に鎮座する賀茂神社がネット検索ではヒットすることが多い。

全くの偶然の可能性も大きいが、兵庫県ではあるものの、室津の地の賀茂神社が、当社と混同される場合がある、というところに、当社の賀茂系の可能性を際立たせてもいるか。

【ご利益】
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室津神社 高知県室戸市室津字船久保
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