平安時代の面影ある重文・五社造りと「とび拝殿」、ソテツ
[住所]兵庫県たつの市御津町室津74
[電話]079-323-3171

賀茂神社(かもじんじゃ)は、兵庫県たつの市御津町室津にある神社。室津漁港南岸の岬、海を望む半島突端に鎮座する。参拝すれば、御朱印を頂ける。

京都上賀茂神社の御厨の一つで、平安時代後期までには創建されていたという。賀茂明神、室社、室明神社、室の明神、室の宮などと呼ばれた。

御祭神は、賀茂別雷命で、現在までに建速須佐之男命菅原道真命を併せて祀る。

現在の社殿は、江戸時代前期の元禄12年(1699年)の再建。五つの社殿とそれらを取り巻く回廊、正面の唐門は桧皮葺で、いずれも国の重要文化財に指定されている。

5棟の流造、いわゆる五社造りで、さらに本殿と拝殿が境内を隔てて建てられ、「とび拝殿」という、全国でも非常に珍しい形式になっている。

本殿左右に鎮座する境内摂社に、片岡社(賀茂建角身命)、太田社(意富多多泥子命)、椙尾社(天照大神豊受大神)、貴布祢社(高龗神)、若宮社(玉依日子命)がある。

椙尾社(榲尾社)にだけ水平切りの千木と鰹木が3本ある。清楚で優雅さを兼ね備えた社殿は、平安時代の姿をうかがわせるとされる。

室津港は古代から瀬戸内航路の重要な拠点港として栄え、文政9年(1826年)にはシーボルトが当社を参詣、播磨灘の展望を絶賛したと伝わる。景勝地としても有名。

例祭は4月上旬の土・日曜日で、小五月祭りと呼ばれる。奉納される棹の歌は、県の無形民俗文化財に指定されている。

夏祭りが7月下旬の土・日曜日にあり、夏越祭。海の男の裸祭りで、室町時代の応永年間(1394年-1428年)以来の伝統だという。

参道横にはソテツの群生が見られ、県の天然記念物に指定されている。株数は大株20株でそれぞれ分枝を持つ。

大株うち、7割が雄株、3株が雌株、最大のものは目通り5メートル、高さ約6メートルの主幹に15本の分枝を持つ。

野生状態の群生林としては、日本列島の北限に位置するとされる。主幹、分枝それぞれほぼ隔年に小花・雌花が咲き、赤い実を結ぶ。

他の境内社に、白鬚社(猿田毘古神)、梶田社(瀬織津姫神)、恵美酒社(辞代主神)、御祖社(玉依日売命)、河合社(伊可古夜姫神)、八幡社(品陀和気命)、大宮社(賀茂建角身命・少名毘古那命)などがある。

また、境内には賀茂の愛の榊が祀られ、連理の榊とも呼ばれて夫婦の絆・良縁のご利益があるという。大きな板石も安置されている。

近くには大坂城の石がある。豊臣秀吉が大坂城を築いた際、石垣にするために、西国大名が運ぶ途中、当地の海中に落としたもの。

長らく海中に没していたが、昭和47年(1972年)に引き上げられ、設置された。

約9キロ沖合いの家島から採石して、当地に運び陸送される、ということが、古くは大坂城、現代では関空、中部国際空港、神戸空港の基礎工事に使われているという。

なお、「室津神社」とネットで検索すると、当社のことがヒットすることが多い。ただし、高知県室戸市にも室津があり、室津神社という式内社がある。

【ご利益】
海上安全、水難除け、大漁満足・商売繁盛、事業成功
賀茂神社 兵庫県たつの市御津町室津
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