国史記載の見付天神、旧暦8月の裸祭、つつじ公園と霊犬悉平太郎
[住所]静岡県磐田市見付1114-2
[電話]0538-32-5298

矢奈比賣神社(やなひめじんじゃ)は、静岡県磐田市見付にある神社。「見付のお天神様」見付天神として知られる。参拝すれば、御朱印を頂ける。

『延喜式神名帳』にある「矢奈比売神社(遠江国・磐田郡)」に比定される式内社(小社)。近代社格では県社

創祀・創建年代は不詳。御祭神は矢奈比賣命(やなひめのみこと)。もとは磐田市元天神の地に祀られていたが、いつの時代にか現在地に奉遷された。

『続日本後記』承和7年(840年)6月戊辰の条に「遠江国磐田郡無位矢奈比賣天神従五位下」とある。

また『三代実録』貞観2年(860年)正月戊寅の条に「遠江国従五位上矢奈比賣天神正五位上」とある。

相殿の菅原大神(天満大自在天神)は、平安時代の正暦4年(993年)に勧請、奉祀された。

道真が勧請される以前から、もとの鎮座地や国史にあるようにもともと「天神」と呼ばれており、道真の天神信仰が高まる中で、「天神」が定着したものと考えらえる。

江戸時代初期の慶長8年(1603年)、徳川家康より神領50石が寄進された。明治6年(1873年)、県社に列した。

現在までに、愛宕神社(火之迦具土神)、住吉神社(底筒男命中筒男神表筒男神住吉三神)を合祀している。

例祭は旧暦8月10日・11日。毎年変わるがおよそ9月上旬。現在はその直前の土・日曜日に行われる。

いわゆる「見付天神裸祭」で、国の重要無形民俗文化財に指定されている。

当社の御神霊が遠江国総社である淡海国玉神社へ渡御する際に行われる祭で、渡御に先立ち、裸の群衆が見付地区内を練り歩き、当社拝殿で乱舞する。

大祭は1週間前の元宮天神社例祭(祭事始)から始まり、見付地区の清め(御斯葉おろし)、3日前の福田海岸における心身の清め(浜垢離)、前日の社殿・境内などの清め(御池の清祓)と続く。

大祭では御神霊の渡御、 翌日には御神霊の還御で一連の祭礼が終了する。厳粛な物忌みと心身の清めにより祭事を行うという、古代の祭儀の法を伝承。

また、江戸時代中期のこととして語り継がれる「梅之湯」の伝承がある。これに基づき、毎年8月13日、参拝者に1年病気にからないとされる「梅之湯」が振る舞われる。

境内社に、住吉神社、氷室神社・山神社、大神宮遥拝所がある。御神木はヒノキで、樹齢はおよそ400年。

霊犬悉平太郎(しっぺいたろう)の伝説

境内に霊犬悉平太郎の銅像がある。

昔、見付村では田畑を荒らされないように毎年祭の日に白羽の矢が立てられた家の娘を生贄(人身御供)として怪物に捧げていた。

旅の僧が怪物の正体を暴こうと、祭の夜に様子を窺うと、「信州の悉平太郎はおるまいな」と悉平太郎という者を恐れている様子。

さっそく、信州の悉平太郎を探したところ、光前寺に飼われている早太郎とも呼ばれる犬だった。

次の祭の日、悉平太郎を借り受けて娘の身代わりとすると、悉平太郎は怪物大狒狒と一晩中戦い続け、ついにこれを退治。

悉平太郎は傷つきながらも光前寺までたどり着き、一声吠えて息絶えたとも、当社境内で死んだとも言われている。

当社北側の森林の中に広がるつつじ公園は、約30種類、3500株のつつじが咲き誇る(見頃は4月中旬)が、そこに霊犬神社が鎮座する。

当地の悉平太郎に似た伝承は、山形県鶴岡市の椙尾神社「めっけ犬伝説」、高畠町高安の犬の宮・猫の宮にも伝わる。

【ご利益】
学業・受験合格、安産、子育て、健康長寿、縁結び(公式HP
矢奈比賣神社 静岡県磐田市見付
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