仁徳天皇による創建、府内の九十九王子で唯一現存、安倍晴明の伝承
[住所]大阪府大阪市阿倍野区阿倍野元町9-4
[電話]06-6622-2565

阿倍王子神社(あべおうじじんじゃ)は、大阪府大阪市阿倍野区阿倍野元町にある神社。近代社格では郷社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

『摂州東成郡阿倍権現縁記』によれば、第16代仁徳天皇の夢の中に熊野三山の使いである三つの足の烏が現れた。

天皇がそれを捜させると、同じものが阿倍島と呼ばれた島だった当地にいたので、神社が創建された。

現在、当社境内には御烏社(八咫烏大神。願掛け御烏)がある。この創祀にちなんで創建されたものか、もともとこの境内社がコアか。

また、阿倍野は古代豪族である安倍氏が居住した土地で、その氏寺として阿部寺が、氏神として、当社があったともいう。

平安時代初期の天長3年(826年)、弘法大師空海が淳和天皇の勅命で阿部寺に参り、疫難退散の祈祷を修したという。

霊験があって、疫病を治癒する寺という意味の痾免寺(あめんでら)の勅額が下賜されたという。

阿部寺は「千軒坊」と呼ばれるほどの大きな寺院だったが、安倍氏の衰退とともに、四天王寺に併合されたという。

残された当社は、当地は四天王寺と住吉大社のほぼ中間の位置にあり、熊野参詣の街道筋の九十九王子の一つ「阿倍王子」となった。

後鳥羽天皇が熊野御幸を行った平安時代には、現在の市中央区の窪津王子・坂口王子・郡戸王子に次ぐ4番目の王子とされた。

後に郡戸王子と当王子の間、現在の天王寺区に上野王子が設置され、5番目の王子となるが、戦国時代の戦乱により途中の坂口、郡戸、上野の各王子は焼失した。

そのため、安土桃山時代には2番目の王子となった。阿倍野村の氏神としても信仰され続け、現在、大阪府内の九十九王子で唯一、旧地に現存している王子である。

主祭神は熊野権現(熊野王子神)として、伊弉諾尊伊弉冉尊素盞鳴尊品陀別尊を八幡大神として併せて祀る。

品陀別命は明治40年(1907年)に元東区安土町3丁目鎮座の男山八幡宮を合祀したもの。また、現在は素戔嗚尊奉祀神社「全国清々会」にも加盟している。

例祭は10月15日で、秋祭大祭。その土・日曜日には境内で「あべの王子みのり市」が開催される。

7月27日・28日が夏季大祭で、各地区で神賑行事があり、神幸渡御があって、神輿が地域内を巡行する。境内や周辺で露店が出る。

北方約50メートルほどに、境外末社として安倍晴明神社がある。御祭神は安倍晴明で、当地はその生誕地と伝わる。

創建は平安時代の寛弘4年(1007年)で、代々晴明の子孫と称する保田家が社家として奉仕した。

現在は、境内に晴明の等身大の銅像が建ち、晴明の産湯に使われた井戸「産湯井の跡」の他、「葛之葉霊狐の飛来像」「安倍晴明誕生地の石碑」がある。

他の境外社に、玉菊稲荷神社(玉菊大明神・玉村大明神)がある。昭和11年(1936年)創建。平成10年(1998年)に当社の境外末社になった。

また、阿倍野元町5番16号に泰名稲荷神社(泰名稲荷大神)がある。安倍泰名で、安倍晴明の伝説上の父にあたるという。

当社の境内社に、先の御烏社の他、総合末社・葛の葉稲荷神社(宇迦之御魂大神8柱)・水神社(高龗神罔象女神闇龗神)がある。

御神木として、茂杜能木霊神・汰紀能木霊神・多摩能木霊神・波多能木霊神がある。

【ご利益】
身体壮健、健康長寿、病気平癒、厄災除け(公式HP
阿倍王子神社 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野元町
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阿倍王子神社 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野元町の御朱印