東京都心の南約200キロ、島北西部に里宮、南に本殿、8月例祭
[住所]東京都御蔵島村
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稲根神社(いなねじんじゃ)は、東京都御蔵島村にある神社。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「伊大氐和氣命神社(伊豆国・賀茂郡)」に比定される式内社(小社)。近代社格では郷社。

東京都心の南約200キロ、三宅島の南南東19キロの太平洋上に位置する御蔵島(みくらじま)。北西部に桟橋があるのみで、周囲はおよそ断崖。

島はほぼ円形をしており、中央に標高851メートルの御山を擁する。島全体が豊かな原生林で覆われているため、島としては珍しく水に恵まれている。

周辺海域に野生のミナミハンドウイルカが生息していることでエコツーリズムの拠点として発展、全国に名前が知れ渡った。

当社の里宮はその北西部に鎮座する。創祀年代は不詳。 江戸時代には鍵取神社とも呼ばれていた。

「伊大氐」と「稲根」の音が似ているからという理由や、「伊大氐」は「岩楯」であり、御蔵島の断崖を意味するという説がある。

口碑によると、昔、当島の稲根山山頂に毎夜光輝くものが出現し、島の四方を照らした。南風が吹いたとも、鈴の音が鳴り響いたとも。

島民が近づいてみると、カクレミノの木に立派な鏡がかかっていた。

当島の神主が、里へお迎えしようとしたが、出現した神がその地を好んだため、後述の本殿のある稲根山の岩にお祀りし、後に堂宇を建てて祀ったという。

御祭神は、五十猛命。もともとは式内社名通り、伊大氐和氣命だろう。『三宅記』に記載はないが、三島大神事代主命)の御子だとも。一説に、国懸大神とも。

相殿には富賀神社が祀られている。三宅村に同名の式内社があり、三島神社、富岡神社とも称し、当社と並んで、御蔵島の総鎮守である。

境内社に、御笏神社、三宝神社がある。御笏神社はやはり三宅村に同名の式内社があり、御祭神は三島大神の后の一人、佐伎多麻比咩命。

御笏神社には、見女神社・剣神社・琴平神社・壬生神社・山神社などが合祀されている。

三宝神社は、桂川甫筑・奥山交竹院・加藤蔵人を祀る。3人は、三宅島の支配から御蔵島独立を果たした島の偉人である。

加藤蔵人は御蔵島の神主で、奥山交竹院は絵島生島事件で御蔵島へ流されていた。2人は江戸城内の桂川甫筑に相談して、最終的に独立を成功させた。

本殿は、島南部の稲根ケ森の中にある。ガイド同行で、草祀りの神にお供えをし、山道を進むことになる。

その参道の途中には、上述の鏡が出現したという地に、丸石と鳥居。さらに進むと、岩がひび割れた場所があり、そこが最初の鎮座地だという。

明治初期の廃仏毀釈令によって、全島民が当社の氏子とされて以来、氏神として厚い信仰を集めてきた。

毎年8月4日・5日に行われる例大祭は、里宮を中心に神輿の巡行が行われ、島中が沸き立つような活気を見せる。

また、江戸時代の画家英一蝶の筆による、板絵着色神馬図額なども奉納されている。

【ご利益】
平穏安寧、地域安全、リフレッシュ
稲根神社 東京都御蔵島村
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