湖水の甲州盆地に大和国三輪を船で奉遷、その神事が今に伝わる
[住所]山梨県南アルプス市下宮地563
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神部神社(かんべじんじゃ)は、山梨県南アルプス市下宮地にある神社。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 東海道神 甲斐国 巨麻郡「神部神社」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では郷社。

第11代垂仁天皇の御宇、当地の甲州盆地が湖水の時、大和国城上郡大三輪神社より、舟で奉遷された。

御祭神は、大物主奇甕玉神、つまり大物主命。式内社「神部神社」は、『日本三代実録』などによれば、下記のような神階に叙されている。

貞観5年(863年)6月8日に従五位上、貞観8年(866年)3月28日に正五位下、貞観18年(876年)7月11日に正五位上、元慶4年(880年)2月8日に従四位下。

古くは甲斐総社ともされたという。通常、甲斐国総社は、笛吹市春日居町甲府市中央の甲斐奈神社とされる。

保元・平治(1156年-1160年)の後も、逸見武田、小笠原家などより厚く尊崇された。三輪明神として崇敬され、明治6年(1873年)、郷社に列した。

この地は里宮で、「霜月より4月まで山宮に鎮座、4月より霜月まで里宮に鎮座」と言われたという。市内には上宮地という地名があり、そこの八幡神社が当社の山宮とされる。

祭典は数度の中で4月12日の御幸祭を大祭とし、内西御幸祭と呼ばれる。往古は公祭として行なわれたため、武器・兵丈・馬口の奉納があり、祭典終了を飛脚で報告した。

もともと2月2日、現在は3月2日に曳舟神事が行われる。当社創祀の故事にならい、木舟の舳先に綱をつけ神主、総代が引く所作を行う。町指定無形民俗文化財。

江戸時代後期の文化3年(1806年)、上州の和算家清水直次郎央七が奉納した算額があった。しかし、大正12年(1923年)の火災で焼失。

平成5年(1993年)になり、古書にもとづいて、この算額が奉納当時の姿に復元された。町指定文化財。

式内社「神部神社」の論社は他に、北杜市南アルプス市寺部の当社および式内同名神社、北杜市の熱那神社白山神社、韮崎市の南宮大神社がある。

市内の寺部の同名神社と、下宮地に鎮座する当社は、その地名の「宮」と「寺」という関係から、何らかの関係があるのではないかとされる。

また、山梨郡の式内社にも「神部神社」があり、甲州市山梨市に当社および式内同名神社がある他、笛吹市春日居町の賀茂春日神社が論社。

【ご利益】
家内安全、病気平癒、事業成功
神部神社 山梨県南アルプス市下宮地
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