平安末の古碑、江戸前期の本殿、11月例祭は太太神楽で賑わう
[住所]山梨県南アルプス市高尾498
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穂見神社(ほみじんじゃ)は、山梨県南アルプス市高尾にある神社。高尾穂見神社とも。参拝すれば、御朱印を頂ける。

延喜式』巻9・10神名帳 東海道神 甲斐国 巨麻郡「穂見神社」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では郷社。

集落の北、標高850メートルの櫛形山中腹に鎮座する。創建年代は不詳。御祭神は保食神。そのためか、近世までは稲荷社とも呼ばれた。

『甲斐国古社史考』によれば、古くは白山権現・三躰王子(大福王子、大寿命王子、大智穂王子)を御祭神としたという。

『延喜式』神名帳より250年ほど後にはなるが、平安時代末期の文治3年(1187年)の古碑に「穂見神社」とある。

この古碑は、江戸時代中期の享保13年(1728年)7月、大洪水により、この山の麓の岸を崩し流した時、土中より発掘されたもの。

よって古くからの「穂見神社」であることは間違いないが、奥宮・山宮のような立地から、式内比定に躊躇する向きがある。

苗敷山の同名神社を夏宮と呼び、当社を冬宮と呼ぶという伝承が残る。いわゆる里宮、奥宮の関係を示唆するもの。

ただし、苗敷山の同名神社はそれ単体で、奥宮と里宮から構成されている。

現在の本殿は、桁行5.1メートル、梁間3.2メートル、棟高9.3メートル、建坪25.91平方メートルの三間社流造の建物。

銅板葺で、乱石積の基壇上に建ち、江戸時代前期の寛文5年(1665年)に再建された桃山時代の様式が残る豪壮なもの。現在は県の有形文化財に指定されている。

他に、銅製懸仏「男神鏡像」がある。いわゆる御正体で、鎌倉時代の天福元年(1233年)の年記を有する。

鏡径は26.4センチ、縁厚は0.5センチ。鏡面の左右に銘文があり、やや反りのある円形の鏡面に、線刻で男神の坐像が表現された鏡像。

例祭は11月22日・23日。毎年夜通しで行われ、遠近からの参拝客で賑わう。市の文化財である神楽殿では、やはり市の文化財である太太神楽が舞われる。

商売繁盛、資本金授与、養蚕の神社として県内外に広く知られており、東京や長野など遠方にも高尾講が存在し、参拝者が訪れる。

他に、境内の大スギが、「高尾穂見神社の大スギ」として、市の天然記念物に指定されている。

なお、かつては櫛形町に山梨交通電車線(ボロ電)の倉庫町駅が存在し、参拝客に利用されていた。

式内社「穂見神社」の論社は他に、先の韮崎市旭町苗屋敷山と、韮崎市穴山町の当社および式内同名神社、中央市の八幡穂見神社、北杜市の穂見諏訪十五所神社がある。

【ご利益】
商売繁盛、事業成功、身体壮健
穂見神社 山梨県南アルプス市高尾
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