苗敷山権現、山頂に奥宮、山麓に里宮、甲府盆地の湖水伝承
穂見神社 山梨県韮崎市旭町上条南割苗屋敷山3388
[住所]山梨県韮崎市旭町上条南割3388
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穂見神社(ほみじんじゃ)は、山梨県韮崎市旭町上条南割にある神社。苗敷山権現とも呼ばれ、苗敷山穂見神社とも。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 東海道神 甲斐国 巨麻郡「穂見神社」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

奈良時代の神亀元年(724年)の創立とされる。御祭神は天之底立命国之常立命豊受姫命。例祭は4月13日。

標高1037メートルの苗敷山(旭山)山頂に本宮(奥宮)が、苗敷山東麓に里宮が所在する。里宮が所在する韮崎市旭町上条南割は甲府盆地の西端に位置する。

釜無川右岸の段丘上に立地し、南には御勅使川が流れる。中世には甘利荘に属し、近世には上条南割村が成立した。

古くは苗敷山権現と称し、山頂には別当寺に真言宗苗敷山宝生寺があったという。

山頂には、山門跡や随神門跡、鐘楼跡や客殿・庫裏跡の礎石やテラスが確認され、土師器や墨書土器、緑釉陶器などの出土遺物も見られる。

『甲斐国志』によれば、戦国期には甲斐守護武田氏の庇護を受け、かつては広大な神域を誇っていたが、天正壬午の乱で兵火を被り、衰微したという。

天正13年(1583年)には徳川家康から社領を安堵された。朱印神領は7石7斗あまり、山林東西36町あまり、南北26町あまりとされた。

近世には、境内に本地仏である虚空蔵菩薩を安置した虚空蔵堂など諸堂が存在した。

虚空蔵菩薩は甲府盆地の湖水伝承と関係し、盆地を開拓し苗を敷植し人々に稲作を教えたとする開闢伝承があり、作物の豊穣を願う参詣客が訪れたという。

なお、「苗敷山」の山名はこの開闢伝承にちなむ。

奥宮までの参道には江戸時代前期の元禄4年(1691年)に整備された丁石が立ち並び、十三丁目地点には寛文4年(1664年)の石鳥居が立つ。

奥宮の現在の社殿は、江戸時代中期の元文元年(1736年)に再建されたもので、昭和28年(1953年)に改修された。二間社流造、亜鉛引鉄板葺。神楽殿、拝殿と本殿が直線的に並ぶ。

なお、式内社「穂見神社」の論社は他に、韮崎市穴山町南アルプス市の当社および式内同名神社、中央市の八幡穂見神社、北杜市の穂見諏訪十五所神社がある。

南アルプス市の同名神社である、通称高尾穂見神社には、当社が夏宮で、高尾穂見神社が冬宮であるという、奥宮・里宮の関係を示唆する伝承が残る。

【ご利益】
家内安全、地域安全、五穀豊穣、商売繁盛
穂見神社 山梨県韮崎市旭町上条南割苗屋敷山
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