神鏡制作で試鋳した像鏡を奉斎、鏡作三所大明神、2月に御田祭
[住所]奈良県磯城郡田原本町八尾816
[電話]0744-32-2965

鏡作坐天照御魂神社(かがみつくりにますあまてるみたまじんじゃ)は、奈良県磯城郡田原本町八尾にある神社。略称は鏡作神社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

『延喜式神名帳』にある「鏡作坐天照御魂神社(大和国・城下郡)」に比定される式内社(大社、月次新嘗)の論社。近代社格では県社

第10代崇神天皇の御代、三種の神器の一つである八咫鏡を皇居の内にお祀りすることが畏れ多いとして、遷座が検討された。

その後のことは『倭姫命世記』に詳しい。伊勢の神宮(伊勢神宮)の起源である。

当社の社伝によれば、崇神天皇6年9月3日、この地において日御像の鏡を鋳造し、天照大神の御魂となした。これが内侍所の神鏡となる。

この時、試鋳した像鏡を天照国照彦火明命として奉斎したのが当社の草創である。そこで、この地を鏡作と号したという。

城下郡には鏡作伊多神社(保津宮古)・鏡作麻気神社など「鏡作」を冠する式内社が多い。『和名類聚抄』にも鏡作郷が出てくる。

実際、神鏡制作には多くのテスト・検証が行われたことは間違いなく、社伝にある「試鋳」は非常にリアルだ。

饒速日命ともされる天照国照彦火明命の他、石凝姥命・天糠戸命も祀られ、鏡作三所大明神として称えられた。

石凝姥命は、天照大神が天岩戸に隠れた際、八咫鏡を造った神で、鏡作師の祖とされる。天糠戸命はその父で、麻気神とも。

隣接する唐古・鍵遺跡からは、石製の銅鐸鋳型の破片やフイゴなどが出土している。もとは銅鐸作成の技術者が住んでいたことは確実。

これらの技術者は、銅鐸の需要がなくなって後に、銅鏡の製作に従事した、とも考えられている。少なくとも弥生時代からの技術の蓄積。

古代から江戸時代にかけて、当地一帯には鏡作師が住み、鏡池で身を清め、鏡作りに励んだといい、鏡の神としては全国で最も由緒の深い神社とされる。

昭和11年(1936年)、県社に列し、さらに官幤社昇格の運動を進めていたが、終戦とともにそれも終わった。

例祭は10月25日。宵宮にはあかりの祭りが行われ、境内は幻想的な雰囲気に包まれる。

毎年2月21日に近い日曜日の午後には「おんだ祭」(御田祭)が行われる。牛が暴れまくる、御田植舞・豊年舞・牛使いを特徴とする神事。

境内社に、鏡作坐若宮神社、天照皇太宮・手力雄神社・住吉神社・春日神社、八意思兼神社・粟嶋神社・事代主神社・厳嶋神社・保食神社・大国主神社・猿田彦神社、鍵取神社・笛吹神社、狹依姫神社などがある。

社宝として、非公開だが、三神二獣鏡を所蔵している。現在は、美の神として技術向上を願う美容師や、鏡業界の関係者の参拝が多いという。

なお、式内社「鏡作坐天照御魂神社」の論社は他に、当社の旧地、あるいは元宮の可能性も指摘される、三宅町石見の鏡作神社がある。

当社から北東すぐには小坂の鏡作麻気神社があり、南西方向には宮古の鏡作伊多神社があって、当社を含む三社は直線上に並んでいるとの指摘がある。

【ご利益】
美容師、鏡業界の神、美容・美顔、事業成功
鏡作坐天照御魂神社 奈良県磯城郡田原本町八尾
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鏡作坐天照御魂神社 奈良県磯城郡田原本町八尾の御朱印