新任の出雲国造が天皇に対して奏上する寿詞に出てくる五社
『出雲国造神賀詞』記載の神社とは? - 新任の出雲国造が天皇に対して奏上する寿詞に出てくる五社
『出雲国造神賀詞』とは、「いずものくにのみやつこのかんよごと」で、新任の出雲国造が天皇に対して奏上する寿詞である。

そこには、大穴持命が国譲りした皇孫と、その子孫の住むべき国として倭を指定し、その繁栄を祈願するために、倭、つまり大和国、現在の奈良県に配した自身の和魂や御子の御魂を祀った神社と、自身が出雲大社に鎮座したことが記載されている。

その冒頭の方では、「伊射那伎の鐘愛され給う御子で、最も尊い神なる熊野大神櫛御気野命」も記載され、現在の熊野大社のことを指しているものと思われる。

自身の和魂と3人の御子の御魂、計4社だが、候補を入れて5社。このうち、「飛鳥の神奈備」は、もともとの地は飛鳥坐神社の旧地でもある、現在の加夜奈留美命神社の地であることが考えられる。

この4社だけを抽出したものが下記。
『出雲国造神賀詞』記載の神社とは? - 大和国、もとの社地のみ四社の地図

比較的きれいな、ひし形を描いていることが分かる。古代の倭(大和国)のおよその範囲、あるいは中心部を示すものではないか、と思われ、興味深い。

この全文は、『延喜式』に記載されている。内容は天穂日命以来の祖先神の活躍と歴代国造の天皇への忠誠の歴史とともに、天皇への献上物の差出と長寿を祈願する言葉が述べられている。全文はこちらから。

六国史などによれば、霊亀2年(716年)から天長10年(833年)までの間に15回、天皇の前で奏上されていることが確認されている。ここまで念を押して、何度も繰り返す必要が、当時としてはあったのだろう。

大御和の神奈備 大神神社

大神神社 奈良県桜井市三輪
[特徴]自分の和魂、倭の大物主なる櫛厳玉命
[住所]桜井市三輪1422
[電話]0744-42-6633

葛木の鴨の神奈備 高鴨神社

高鴨神社 奈良県御所市鴨神
[特徴]御子である阿遅須伎高孫根命の御魂
[住所]御所市鴨神1110
[電話]0745-66-0609

宇奈提 河俣神社

河俣神社 奈良県橿原市雲梯町
[特徴]御子である事代主命の御魂
[住所]橿原市雲梯町689
[電話]0744-22-4960 - 畝火山口神社

飛鳥の神奈備 飛鳥坐神社

飛鳥坐神社 奈良県高市郡明日香村
[特徴]御子である賀夜奈流美命の御魂
[住所]高市郡明日香村大字飛鳥字神奈備708
[電話]0744-54-2071

飛鳥の神奈備 加夜奈留美命神社

加夜奈留美命神社 奈良県高市郡明日香村栢森堂ノ上
[特徴]御子である賀夜奈流美命の御魂
[住所]高市郡明日香村大字栢森字堂ノ上358
[電話]0744-54-2071 - 飛鳥坐神社

八百丹杵築 出雲大社

出雲大社 島根県出雲市大社町杵築東
[特徴]自分は八百丹杵築宮に鎮座
[住所]出雲市大社町杵築東195
[電話]0853-53-3100

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