大穴持命が子を大和に配した中の宇奈提・事代主命、壬申の乱に勝利
河俣神社 奈良県橿原市雲梯町689
[住所]奈良県橿原市雲梯町689
[電話]0744-22-4960 - 畝火山口神社

河俣神社(かわまたじんじゃ)は、奈良県橿原市雲梯町にある神社。曽我川東岸、橿原神宮の北西、桜井線の金橋駅の南東約1.6キロ。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』大和国高市郡にある「高市御県坐鴨事代主神社」「川俣神社三座」に比定される式内社(大社、月次新嘗)。近代社格では村社。創建年代は不詳。

御祭神は鴨八重事代主神畝火山口神社で行われる、摂津住吉大社から畝傍山の埴土取りにくる「埴使神事」の神官が、当社で装束を整える風習から、古来「装束の宮」とも呼ばれている。

出雲国造神賀詞』に、大穴持命の子神阿遅須伎高孫根命を葛城に、事代主命を宇奈提に、加夜奈流美命を飛鳥へとそれぞれ神奈備において天皇の守護神としたとある。

このうち、当社は宇奈提に相当することになる。宇奈提(うなせ)が現在の雲梯(うなて)になったという。

『日本書紀』天武天皇元年(672年)、壬申の乱において、高市郡大領高市県主許梅が神がかりして「吾は高市社に居る、名は事代主神なり」と神が告げた。

その後戦勝したため、天武天皇は高市社に許梅を遣わして幣を奉らしめ、品位を奉授したという。この高市社が当社のこととされる。『万葉集』にも下記のように見える。
巻七1344
真鳥住む 卯名手の神社の 菅の根を 衣にかきつけ 着せむ子もがも

巻十二3100
思はぬを 思ふといはば 真鳥住む 卯名手の社の 神し知らさむ
『日本三代実録』貞観元年(869年)正月27日、従二位の高市御県鴨八重事代主神が従一位に昇叙されたとある。

なお、同じ項に川股神に従五位上を昇叙と出ているのは、当社西南300メートルの初穂寺に鎮座している木葉神社のこととされる。「川俣神社三座」の論社。

近世には、住吉大社との関係からか、当社は住吉神社、あるいは太神宮とも呼ばれていたという。式内社「川俣神社」と混同され、現在の社号が定着したという。

ただ、「高市御県坐鴨事代主神社」は他に論社も見当たらないのだが。当社の例祭は10月17日。

【ご利益】
開運招福、武運長久・勝運
河俣神社 奈良県橿原市雲梯町
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