肥沃な地の三ヶ尻、水田の中にある田中天神、境内には要石・境界石
田中神社 埼玉県熊谷市三ヶ尻671
[住所]埼玉県熊谷市三ヶ尻671
[電話]048-532-3874 - 三ヶ尻八幡神社

田中神社(たなかじんじゃ)は、埼玉県熊谷市三ヶ尻にある神社。御朱印の有無は不明。

延喜式』巻9・10神名帳 東海道神 武蔵国 播羅郡「田中神社(武蔵国・播羅郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では村社。

古代の三ヶ尻は、荒川の川筋に当たっていたため、上流からの土砂の流入による肥沃な土地であった。

このため、早い時期から稲作が行われていたと思われ、地名の三ヶ尻もこれに関係し、古くは甕尻と書いていた。

これは、地内にある狭山と呼ばれる山が、春と秋に田の神を祀るための酒を醸す大甕を伏せた形に似ているところからきたものという。

当社の主祭神格は現在に至るまで武甕槌命であり、「甕」つながりであることは偶然か。

また、当地には三ヶ尻古墳群があり、ここから有力な地方豪族の存在をうかがわせる銀象嵌の施された太刀が出土している。

当社の創祀年代は不詳。『新編武蔵風土記稿』では、水田の中にあるところから田中天神と称し、御祭神は少彦名命天穂日命、別当は新義真言宗の延命寺、と載せている。

江戸期には天神社・天神宮・田中天神社とも呼ばれたようで、田中天神との名称とともに、菅原道真を祀る社ともされることがあるが、名称による誤解のようだ。

それでもなお、当社の神が学問の神としても崇敬されているという。諸説ある御祭神の中で、菅原道真を挙げるものはない。天津彦根命とするものがある。

『新編武蔵風土記稿』では武甕槌命が欠落しているが、当社の境内に要石と呼ばれる石があり、地震を鎮めると伝えられ、鹿島神宮との関連がうかがえる。

この要石は磐座ともされ、また、武蔵国の幡羅・大里・榛名の三郡の彊域を示す境界石とも伝わる。

現在は小さな社であるが、渡辺崋山『訪𤭖録』には「古代ハ大社ナルヨシ」とあるように、昔は大きな社で参道も800メートルほど離れた庚申塚付近まであったという。

明治5年(1872年)、村社に列したが、明治末年、三尻字新堀新田の八幡神社に合祀された。この八幡神社も式内社「田中神社」の論社。

その後まもなく、氏子の申立によつて現在地に復帰、再興した。御神体として瓢箪形の石三個と金幣三本を本殿に祀る。例祭は1月25日。

なお、式内社「田中神社」の論社は、先の八幡神社の他に、深谷市田中の知形神社がある。

【ご利益】
五穀豊穣、厄災除け、病気平癒
田中神社 埼玉県熊谷市三ヶ尻
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