大和山口社十四社の一つ、摂社立磐神社も式内、本殿は春日移し重文
[住所]奈良県奈良市大柳生町3080
[電話]0742-93-0112

夜支布山口神社(やきふやまぐちじんじゃ)は、奈良県奈良市大柳生町にある神社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

『延喜式神名帳』にある「夜支布山口神社(大和国・添上郡)」に比定される式内社(大社、月次新嘗)。近代社格では県社

創祀年代は不詳。『日本文徳実録』『日本三代実録』などに、養父山口神と表記され、風雨の祈願がなされた。嘉祥3年(850年)、従五位下に叙せられた。

大和国の式内社で山口の社名を有する14の神社、いわゆる大和国十四所山口神社の一つ。

養生=夜支布=柳生なのだろう。宮殿造営のため御料林伐採の際に、山口に坐す神を祀った。

さらに、山口の水を司る神として、また祈雨神として奉祀されたものと考えられている。神名帳の他に、『延喜式』巻3「臨時祭」祈雨神祭条に「養父山口社一座」とあり、祈雨神祭85座に含まれる。

一説に、現在地は現在境内社になっている立磐神社の社地であり、当社はもとは南方600メートルの集落に鎮座していたとも。中世に遷座したという。

この地は上出の字神野といい、通称は神野宮(こうのみや)と呼ばれる。ただし、神野宮は厳密には立磐神社を指す可能性がある。

御祭神は、山口神だとすれば大山祇命の可能性もあるが、素盞嗚尊とされている。大柳生町の氏神。

社務所の後方の古墳からは刀剣などを出土している。宝物に弓・大刀・太鼓など、十六善神画像、大般若経600巻(室町時代)などを所蔵している。

現在は境内社の立磐神社(手力雄命)は、もともとこの古墳を祭祀したものとも考えられている。

立磐神社は式内社「天乃石吸神社」の論社。他の論社に、山添村の六所神社がある。

式内社「天乃石吸神社」は、中世に同じく式内社の赤穂神社御前原石立命神社嶋田神社とともに春日山中に勧請され、春日大社境内末社の紀伊神社四柱として祀られた。

立磐神社の現在の社殿は、春日大社本社本殿第四殿を延享御造替時(1744年-1747年)に当地へ移譲されたもの。いわゆる春日移り。

他の境内社に、祓戸大神、春日神社(天児屋根命)、春日若宮社(天押雲根命)、戸隠神社(天手力男命)、靖国神社(靖国英霊)、八幡神社(品陀別命)がある。

また、境内地の山の中に、白山神社(白山比咩命)、宗像神社(市杵島姫命)、御年神社(大年神御年神若年神)、津島神社(須佐之男命)、住吉神社(中筒男命)などがある。

当社には一年交代で集落の長老の家に神の御分霊を迎える「回り明神」という珍しい行事が伝わっている。

例祭は10月18日で秋祭。前日の17日が例祭宵宮祭。太鼓踊が伝わっている。雨乞いの踊りで、賑やかな音響の中で跳躍乱舞する。県指定無形文化財。

【ご利益】
厄災除け、病魔退散、五穀豊穣
夜支布山口神社 奈良県奈良市大柳生町
【関連記事】
祈雨神祭85座とは? - 畿内の式内大社で祈雨・雨乞いに霊験が強い52社85柱の神々
大和国六所山口神社・十四所山口神社とは? - 式内14大社、祈雨神祭85座、祝詞の6社
奈良県の旧県社 | 府県社とは? - 旧県社(縣社)・旧府社、その都道府県の中で有力な神社
奈良県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、奈良県に鎮座している神社の一覧
夜支布山口神社 奈良県奈良市大柳生町の御朱印