利島村を開拓した三島明神の御子神、12月例祭は入山禁止など古式
[住所]東京都利島村1
[電話]04992-9-0011

阿豆佐和気命神社(あずさわけのみことじんじゃ)は、東京都利島村にある神社。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「阿豆佐和氣命神社(伊豆国・賀茂郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では郷社。

創祀年代は不詳。御祭神は阿豆佐和氣命。伊豆諸島の造立神である三島大神事代主命)の御子だという。

三島大神が利島に垂迹の際、御子と同后を本島に留め、本島開創に携わらせたという。

亡くなった後、島の南を夫神である阿豆佐和氣命の鎮座御神山とし、東を比売神下上御方の鎮座御神山とし、長く鎮祭されていた。

『日本文徳天皇実録』には嘉祥3年(850年)、従五位下を奉授、さらに仁寿2年(852年)、加従五位上、斎衛元年(854年)、正五位下の位階加授とある。

島内はもちろん、伊豆諸島でも有数の名社ではあるが、なぜか『三宅記』には記載が見えない。

室町時代初期から中期、参拝に不便として、現在地に遷座。旧地には現在、阿豆佐和氣命本宮がある。

江戸時代になり、明暦2年(1656年)、京都勝光寺中興開山日宗人が来島後、200年あまりの間、両部混在の祭祀が行われた。

明治4年(1871年)、郷社に列し、韮山県庁より国学者萩原正平が巡視した際、神仏混淆を廃すも、利島の神社は両部神道の系譜を引き、祭事・祭式の仏式は残った。

しかし、明治26年(1893年)、神主石田助左衛門は神道祭祀修得を目的に新島の十三社神社宮司前田真一郎氏に師事、六カ月の研鑽の後、前田氏を伴い帰島し、神祭式を復活した。

現在までに、下上御方を合祀神、神武天皇を配祀している。

島内の数多くの神社の中で、当社は規模が最も大きく整った神社で、その中心をなし、鎮守・氏神として、今日まで村民から明神様と呼ばれ崇敬され、親しまれている。

特に阿豆佐和氣本宮を一番神社(一番様)、その東にある大山小山神社が二番神社(二番様)、下上神社を三番神社(三番様)として、その巡拝が行われる。

例祭は12月27日。御祭神の命日(御崩れ日)と伝えられる。

これに先立ち、12月24日、神職と年男は南御神山にある御陵一・ 二・三番神社を巡拝し、正月の注連縄飾りやオッテングラを立てに行く。

これ以降元日まで、御神山以奥の山への一切の人の出入りが禁止される。

当社の干支が酉であるためとし、1月2日以降の初酉の日には年の日祭が行われ、1月14日には筒粥祭が斎行される。

境内社に、道祖神社・三島神社・山川神社・宇渡間神社・西宮神社・御戸口神社・大島神社・第三王子尊・若尊神社・白浜神社・大山小山神社・天津神社・姫宮神社・貴宮神社・三宅島神社・神津島神社・海竜神社・疱瘡神社がある。

なお、式内社「阿豆佐和氣命神社」の論社は他に、静岡県熱海市西山町の来宮神社がある。

【ご利益】
五穀豊穣、事業成功、地域安全、地域振興、家内安全
阿豆佐和気命神社 東京都利島村
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