飛鳥の神奈備に坐して、皇孫の守護をした神、境内の葛神社も式内
[住所]奈良県高市郡明日香村大字栢森字堂ノ上358
[電話]0744-54-2071 - 飛鳥坐神社

加夜奈留美命神社(かやなるみのみことじんじゃ)は、奈良県高市郡明日香村栢森堂ノ上にある神社。柏森の集落北東の小高い森に鎮座する。社前を稲淵川が流れる。

『延喜式神名帳』にある「加夜奈留美命神社(大和国・高市郡)」に比定される式内社(小社)。近代社格では村社。御朱印の有無は不明。

御祭神は加夜奈留美命(カヤナルミ)。『出雲国造神賀詞』において、加夜奈留美命は飛鳥の神奈備に坐して、皇孫の守護をした神で、『五郡神社記』『大神分身類社鈔』は高照姫命のこととする。

『延喜交替式』『類聚三代格』には「賀屋鳴比女」とも記し、天太玉神・櫛玉神・臼滝神とともに飛鳥神の裔神とされる。

『日本三代実録』貞観元年(859年)正月27日条に、大和国従五位下賀夜奈流美神に正四位下を授けたとあり、四裔神の中では最も神位が高い。

飛鳥神奈備は天長6年(829年)、鳥形山に移され、現在の飛鳥坐神社となっているが、 その後も賀夜奈留美神の本霊は旧地にとどまったものと考えられている。

加夜奈留美命を御祭神とする神社は他に、奈良市北京終町の飛鳥神社、大神神社の末社である大行事社がある。

江戸時代には葛神と称したが、カヤノモリ とカヤナルミが類似するため、『大和志』が式内社「加夜奈留美命神社」に充て、以後式内社に治定されている。

式内社「加夜奈留美命神社」の旧地とされるのが、明日香村阪田の葛神社。飛鳥から小原・東山を経て多武峯に登る小道の側にある天神社跡が旧地の説もある。

当社の境内社に葛神社がある。また、摂社に九頭神社があるという。時に、両社が混同される場合がある。

両社か、あるいは九頭神社の御祭神は、九頭神ともされるが、奈良に多い水神である九頭竜王か。水分神、龗神ともされる。

この九頭神社、あるいは葛神社は、式内社「瀧本神社」とされる。また、一部に、式内名神大社・月次新嘗「気吹雷響雷吉野大国栖御魂神社」の可能性があるとも指摘される。

式内名神「気吹雷響雷吉野大国栖御魂神社」はすでに廃絶したともされるが、論社に吉野郡下市町阿知賀の國栖神社(國栖神神社)、上述の阪田の葛神社などがある。

近辺には、稲淵と栢森の綱掛け、稲淵と栢森の「綱掛神事」など、古い形の網かけ神事が伝承されている。

【ご利益】
水の神、五穀豊穣、地域安全
加夜奈留美命神社 奈良県高市郡明日香村栢森堂ノ上
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