奈良時代の創建、12月13日に日本で唯一鮭を神使として祀る献鮭祭
[住所]福岡県嘉麻市田島大隈542
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鮭神社(さけじんじゃ)は、福岡県嘉麻市にある神社。近代社格では村社。御朱印の有無は不明。

鎮座地の近くには遠賀川が流れる。祭礼において鮭(サケ)を神使として祀るが、これは日本で唯一であるという。

奈良時代の神護景雲3年(769年)に創建されたという。御祭神は、葺不合尊火火出見尊豊玉姫命

江戸時代中頃に編纂された『筑前国続風土記』には「鱖大明神」とあり、11月13日の祭礼に鮭を「神に崇む」と記している。

その中では、鮭を崇めることに疑問を挟みつつも、「鮑君神」の類であろうかと指摘している。

また、江戸時代後半に編まれた『筑前国続風土記拾遺』では、祭礼日の9月23日に鮭が川を遡り、当社の社辺を流れる川にまで来るとした。

これについては、海神を祀るために、海魚が上ってくるのであろう、としている。

宝暦13年(1763年)の棟札には、社の近くにある俎石と呼ばれる岩に、毎年旧暦11月13日に龍宮の使いとして遡上してきた鮭が鱗をくっつけるという俗説が書かれている。献鮭祭のルーツ。

境内に明和元年(1764年)の年紀を持つ「鮭塚」がある。

現在は毎年12月13日が献鮭祭で、五穀豊穣が祈願される。遠賀川の鮭は、俎石で清められた後、当社に捧げられ、境内の鮭塚に奉納される。

鮭が遡上しない年は、大根の縦割りに唐辛子の輪切りの目をほどこし、鮭に見立てて供えるという。

鎮座地のある集落では、鮭を捕ると目がつぶれ、家系が断絶するという言い伝えがあり、今でも鮭を食べないしきたりが残るという。

また、土地の人が誤って鮭を食べてしまった時は「いま食べたのは鱒だ」と言い訳したともいわれる。

境内の鳥居脇に夫婦楠が植えられている。鮭の遡上は産卵を伴うことから、縁結びの御利益にも繋げられたと考えられる。

鮭に関する神社ということから、北海道広尾町に昭和58年(1983年)建立の当社の分社がある。

また、当社との関係は不明ながら、島根県雲南市にやはり豊玉姫命を祀る同名の神社がある。

鮭で言えば、青森県十和田市の奥入瀬神社も鮭に関する由緒があり、千葉県香取市の山倉大神には「鮭祭り」がある。

なお、山倉大神の「鮭祭り」は、鮭を塩漬けにし、小さい切り身にさばき、当日に限り参詣者に分け与えられるもので、当社の献鮭祭とは全く意味合いが異なる、

【ご利益】
五穀豊穣・商売繁盛、身体壮健、病気平癒、縁結び
鮭神社(嘉麻市) - 奈良時代の創建、12月13日に日本で唯一鮭を神使として祀る献鮭祭
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