大嘗祭の火燧木を献上する奈良生駒山の火の神、10月に火祭り
[住所]奈良県生駒市壱分町1527-1
[電話]0743-77-8001

往馬坐伊古麻都比古神社(いこまにいますいこまつひこじんじゃ)は、奈良県生駒市壱分町にある神社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

『延喜式神名帳』にある「往馬坐伊古麻都比古神社(大和国・平群郡)」に比定される式内社(大社、月次新嘗)。近代社格では県社

神名帳の他に、『延喜式』巻3「臨時祭」祈雨神祭条に「瞻駒社一座」とあり、祈雨神祭85座に含まれる。

往馬大社(いこまたいしゃ)、生駒神社(いこまじんじゃ)とも呼ばれる。創建の年代は不詳であるが、古代、当地に住みついた人々が生駒山を御神体山として祀ったのを起源とするものとみられる。

文献での最も古い記述は、『総国風土記』の第21代雄略天皇3年(458年)条に「伊古麻都比古神社」とあるものである。正倉院文書にも記載が見られる。

生駒山の神である伊古麻都比古神・伊古麻都比賣神が主祭神。古代より火を司る神として信仰され、大嘗祭で用いられる浄火のための火燧木は代々当社が献上する。

『北山抄』『元要記』『亀相記』などには当社の神が「火燧木神(ひきりぎのかみ)」とある。今上天皇の大嘗祭においても当社の火燧木が使用された。

10月第2日曜日(元は10月10日)の例祭は「火神祭」と呼ばれ、龍田大社の風神祭、廣瀬大社の水神祭とともに古来より朝廷の崇敬を受けてきた。

鎌倉時代に八幡信仰が盛んになると、八幡神にかかわる5柱の神が合祀された。

すなわち、氣長足比賣命(神功皇后)・足仲津比古命譽田別命と、神功皇后の母である葛城高額姫命、父である息長宿禰王。八幡神として神功皇后の父母が祀られるのは珍しいかもしれない。

その当時の隆盛を物語っている鎌倉時代の生駒曼荼羅が国の重要文化財に、室町時代の生駒曼荼羅が県の文化財に指定されている。

境内にはこの曼荼羅に描かれた神功皇后の本地仏である十一面観音像を安置する観音堂がある。仏像は鎌倉末期から室町初期頃のもので、社伝では「運慶作」と伝えられる。

現在の観音堂付近に古くは経室という建物が存在し、そこには『大般若経六百巻』が納められ、神宮寺の11の寺が3年づつ輪番で管理してきた。

また現在の英霊殿が祀られている場所には幕末まで八角の宝壇が設けられ、称徳天皇の黄金の位牌を埋めたところと伝えられている。

拝殿の背後に、7連の春日造桧皮葺の本殿が立ち、主祭神2柱、八幡神5柱が奉斎されている。

例祭は10月第2日曜日で火神祭、あるいは火祭りとも。市の無形民俗文化財に指定されている。前日には宵宮があり、やはり火に関する祭典がある。

1月15日が大とんど・鏡開き、2月3日が生駒ゑびす祭、5月5日が御田植祭、7月第1土曜日には七夕銀河祭がある。その他に大的奉納会などがある。

境内社に、北末社として豊受比賣社(豊受比賣神)、仁徳天皇社(大雀神)、神明社(天照大神)、春日社(天児屋根命)、大山祇社(大山祇神)がある。

また、南末社として、伊弉諾社(伊邪那岐命伊邪那美命)、住吉社(底筒男命中筒男命表筒男命)、猿田彦社(猿田彦神)、稲荷社(宇迦之御魂神)がある。

【ご利益】
厄災除け、病魔退散・病気平癒、五穀豊穣・商売繁盛(公式HP
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往馬坐伊古麻都比古神社の御朱印