マークエステルさんが阿波・大麻比古神社に絵画奉納、やっぱりサルタヒコを考えます
日本神話をテーマにした創作活動を続けているフランス人画家マークエステルさんが2015年9月14日、徳島県鳴門市大麻町の阿波国一宮である大麻比古神社に油彩画を奉納しました。徳島新聞が報じています

それによれば、作品は大麻比古神社に祭られる二神を描いた「愛の阿波國の始まり-大麻比古大神と猿田彦大神」とのこと。

天から降りてきた大麻比古大神(天太玉命(あめふとだまのみこと))を、猿田彦大神が道案内する神話の一場面を力強い色調で描写したもののようです。実物を是非見てみたいものです。

学説的にも、大麻比古神社の由緒的にも、サルタヒコがフトダマを導いたということはありません。サルタヒコが導いたのは、フトダマも随伴したニニギの降臨であり、その降臨地を阿波に比定する学説は皆無だと思われます。

だからと言って、この絵画の意味を否定するものではありません。大麻比古神社も「素晴らしい作品」として、この絵画をとらえておりますし、神話解釈は人それぞれでよいと思います。

サルタヒコは中心としてはどうしても伊勢方面だと感じられますが、なぜ阿波国一宮にサルタヒコが祀られているのか。逆に、降臨地とされる九州になぜあまり祀られていないのか。少なくとも主要神社に。

大麻比古神社の由緒によれば、サルタヒコは大麻山の峯に鎮まっており、それを後世に合祀した、としていますが、ではなぜ、阿波の国の大麻山にサルタヒコが鎮まっていたのか。

マークエステルさんのイマジネーションの方向性とは違うものだとは思いますが、この点、どうしても気になります。ちょうど、神武天皇の話を書いた時だっただけに、今回のマークエステルさんの作品が他人ごとに思えず。

マークエステルさんの絵画奉納活動は知る人ぞ知る。今回で147社目。スゴイ! でも徳島県は初めてのことだったようです。今回の奉納を記念して、2015年9月18日-23日、徳島市のあわぎんホールで個展を開くようです。

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