読み:えんじょうじ
員数:2棟
種別:建造物の部 近世以前/神社
時代:鎌倉前期 安貞年間(1227-1228年)
重文:1914.04.17(大正3.04.17)
国宝:1953.03.31(昭和28.03.31)
都道府県:奈良県
所在地:奈良市忍辱山町
所有者:圓成寺
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圓成寺(円成寺)の春日堂・白山堂は、本堂の脇に建つ2棟の社殿で、2棟とも同規模・同形式である。もとは、春日社、白山社と呼ばれていた。

安貞2年(1228年)の再建といわれる。春日造社殿の現存最古の例。明治初期の神仏分離令による破壊をまぬがれるため、仏堂風に「堂」と称した。

一方で、安貞2年に春日大社の神主であった藤原時定が、春日大社の旧社殿を寄進したとされる。春日大社の式年造替に合わせたものと思われる。ただし、春日大社の本殿は4棟。2棟を円成寺に寄進したとして、もう2棟はどうなったのか。

式年遷宮・造替による、旧社殿の下げ渡しや寄進などは昔から、そして今も普遍的に行われるが、世界各国に見られるような厳格な宗教タブーなどもなく、このあたり現在の世界に冠たる日本の「もったいない精神」につながってくるのかもしれない。

しかし、このように現存しているために、現在の春日大社の本殿と、鎌倉時代当時の本殿の違いが比較できたりするので、大変貴重であることは間違いない。

2棟とも、春日造で、本殿入り口に至る階段を覆うあたりの屋根の形状に特徴がある。階段の上の屋根は、入り口が妻入りであるので妻側から下りてくるが、その両端が本殿の屋根となだらかな曲線で連続し、一体のものとなる。

また、そのため妻側に三角の破風が出来る。春日造の特徴として、他に前面に高欄つきの縁があること、棟の上に置千木と堅魚木を載せること、などがある。

身の丈2メートルにもみたないこの二つの社は、国宝建造物の中では最も小さいものとされる。