開発から守り、保存された「耳取遺跡」が国の史跡指定前に特別展を開催 - 新潟県見附市
2015年秋、国の史跡に指定される見通しの新潟県見附市の「耳取遺跡」を紹介する特別展が、同市「みつけ伝承館」で開催されています。縄文遺跡としては県内9カ所目の指定となりますが、複数の年代の集落跡が見つかるなど、耳取遺跡ならではの特殊性が、今回の特別展ではパネルや300点以上の出土品から伝わると言います。2015年12月6日まで。

耳取遺跡は新潟平野東部の東山丘陵から派生する標高76メートルの尾根上の平坦地に立地する縄文時代の集落跡です。

耳取遺跡を含む丘陵一帯は明治初期に開墾され、土器や石器が多く出土することから次第に知られるようになりました。明治30年代以降、著名な研究者が踏査を行なったことにより、見附市を代表する遺跡として、多くの人々が訪れるようになりました。

昭和42年に増えてきた盗掘に対処し遺跡を保護するために集落の時期や内容を確認する発掘調査、昭和62年には民間開発計画との調整を図るための発掘調査が行われました。

これらの調査によって、耳取遺跡は約7万2000平方メートルの広さを有し、時期は縄文時代草創期から弥生時代前期(縄文時代早期を除く)まで及ぶこと、さらに遺跡周辺にも旧石器時代から中世までの多くの遺跡が存在することが確認されました。

縄文時代早期の断絶もまた謎ですが、縄文時代中期(約5000年前)、同後期(約4000年前)、同晩期(約2300年前)の三つの時代それぞれの集落跡が見つかっており、2000年以上にわたって同じ場所に集落が重なるように形成されているのは全国的に貴重。

開発から守った遺跡が、ようやく国の史跡に指定される。地元の方々の努力はいかばかりでしたでしょうか。こうした事例が、例の静岡県沼津市の高尾山古墳などにもつながり、遺跡をいかに保存していくかのノウハウが日本全国で蓄積されますように。

みつけ伝承館特別展『耳取遺跡展』の詳細