読み:にしなしんめいぐうほんでん・ちゅうもん(まえどの)
員数:2棟
種別:建造物の部 近世以前/神社時代
時代:江戸中期 
重文:1936.09.18(昭和11.09.18)
国宝:1953.03.31(昭和28.03.31)
都道府県:長野県
所在地:大町市社
所有者:仁科神明宮
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仁科神明宮の本殿は、桁行三間、梁間二間、軒高6.6メートル、棟木の長さ8.3メートル余、戸前は中央一戸四方に擬宝珠勾欄を廻らし、左右に特有の棟持柱が立ち、屋根檜皮葺、千木高く棟木の上には巴紋をつけた勝男木6本置かれた平入の建造物で、内宮式神明造である。

破風板は、そのまま延びて千木となり、破風板にはそれぞれ4本の鞭懸があり、妻には棟持柱があるなど構造手法に古式がうかがわれ、神明造りの原形式を保存している点で、建築史上貴重な遺構である。細部は概ね室町時代の様式を伝えている。

正面に濱縁を設け、五段の階段を置き、縁側を廻らしている。階段及び縁側に擬宝珠勾欄が附いている。

縁束は円で、束の中部を腰貫で連ね、縁葛は隅の先が突出していない。柱断面は円、床下部は八角である。地長押と内法長押とがあり、これに時代を表現している釘隠が打ってある。

頭に柔らかい線をもった舟肘木を置いて丸桁を受け、その上に繁垂木が打ってある。壁体は横羽目の板である。妻飾は叉首束でその組み方が大きい。破風板は向かって右が前に組まれ、その先は屋根を通して風切穴附の千木になっている。

中門(前殿)は、単層平入の四脚門で、屋根切妻造・柿板葺で千木と勝男木とが置かれてある。柱は円柱で、控柱は八角の礎石の上に立っている。

根太貫を通して上に床を張り、更に門柱に唐居敷を切り込み、蹴放を置き、方立を立て、両開きの格子附吹寄舞良戸が吊ってある。

柱上には冠木を載せ、それと直角に肘木を組み、その上に梁を置いて控柱を連ねてある。梁の上には前時代に見るような丈の高い美しい曲線をもった板蟇股が置いてあり、更にその上に本殿と同様な舟肘木を組んで棟木を受けている。

本殿……桁行三間、梁間二間、神明造、檜皮葺、釣屋、本殿・中門に附属
中門(前殿)……四脚門、切妻造、檜皮葺、釣屋、本殿・中門に附属
国宝「仁科神明宮本殿・中門(前殿)2棟」(長野県大町市)
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