平成27年度 夏季速報展示 「赤田横穴墓群の陶棺2 -9号墓出土の陶棺と遺物-」 - 奈良市
古墳時代後期(6世紀後半-7世紀中頃)造営の赤田横穴墓群(あこだおうけつぼぐん、奈良市)で出土した「陶棺」(とうかん)の破片をつなぎ合わせ復元した結果、全国で例のない、底が平らで縦置きできる「円筒形陶棺」と分かり、奈良市埋蔵文化財調査センターが2015年6月29日発表しました。当時は通常、死者をそのまま横たえて納めていたが、復元した陶棺(2基)には一旦埋葬した死者の骨を納め再び埋葬したとも考えられると言います。産経新聞が報じています。画像は、赤田横穴墓群と今回出土品の出土時の様子(出典:奈良市)。

赤田横穴墓群は、西大寺赤田町に位置し、これまでに16基の横穴墓が発見されています。奈良市教育委員会では1-9号墓の発掘調査を行い、土師質の亀甲形陶棺と円筒形陶棺などが出土していました。

昨夏の速報展では、このうち3・5・7号墓の亀甲形陶棺5基を公開しましたが、今回は新たに復元作業が完了した9号墓(7世紀)の亀甲形陶棺1基と円筒形陶棺2基などを初公開すると言います。参観は無料。

【展示期間】
平成27年7月1日(水)-8月28日(金) ※土・日・祝日は休館
午前9時-午後5時(入館は午後4時半まで)

【展示場所】
奈良市大安寺西2丁目281
奈良市埋蔵文化財調査センター 展示室前ロビー

詳しくはこちらから。

円筒棺は大小二つあり、いずれも平底で、自立することができます。つまり立てて使っていた、という可能性があります。この当たりの考察は上記の産経新聞が詳しいですが、当時の葬送方式や考え方を知る上では貴重な発見となりそうです。

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