坂上田村麻呂の鈴鹿峠平定にちなむ、ヤマトヒメゆかりの古社
[住所]滋賀県甲賀市土山町北土山469
[電話]0748-66-0018

田村神社(たむらじんじゃ)は、滋賀県甲賀市にある神社。近代社格は県社。毎年2月18日を中心とした3日間に執り行われる厄除大祭(田村まつり)で有名。社伝では、弘仁3年(812年)に創建されたという。御祭神は坂上田村麻呂、嵯峨天皇、倭姫命

当社は近江国(滋賀県)と伊勢国(三重県)の国境にあり、古来都より伊勢へと参宮する交通の要衝。鈴鹿峠に悪鬼が出没して旅人を悩ましており、嵯峨天皇は田村麻呂に勅命を出してこれを平定させた。交通の障害を取り除いて土地を安定させた田村麻呂の遺徳を仰ぎ、勅によって創建されたという。

一説には、アマテラスを奉斎したヤマトヒメが4年間滞在した、『日本書紀』に「近江国」、『倭姫命世記』に「甲可日雲宮」とある元伊勢の伝承地の一つとされる。

伊勢の神宮(伊勢神宮)の皇大神宮(内宮)の元宮の可能性がある。そうした、現在でも祀られているヤマトヒメ(鈴鹿姫とも言われたともされる)ゆかりの聖地だったからこそ、後年、田村麻呂が祀られるようになった可能性は否定できない。

「田村まつり」として親しまれる厄除大祭の起源は古く、弘仁3年(812年)正月あらゆる農作物が実らず、疫病が流行して世の人々が苦しんでいたので、田村麻呂の霊験を以て災厄を祓うよう厄除の大祭を斎行したのが始まり。

三日三晩にわたる大祈祷が執り行われ、災いは見事に治まったと伝えられる。この御神徳により、大難を小難に小難を無難にと守護する「厄除の大神」として、当社は広く厚く崇敬されるようになり、 以来、毎年2月17日・18日・19日の3日間、連綿と続けられ、現在に至っている。

大祭では、厄年の厄除の祈祷を始め、田村麻呂のお告げにより、境内を流れる御手洗川に歳の数の豆を流す事で厄が落ちるとされる「厄豆落し」などの神事が行われ、多くの参拝者で賑わう。

なお、元伊勢「甲可日雲宮」の候補地は多く、その他に、甲賀市に甲可日雲宮(垂水頓宮址側、土山町頓宮)、大神宮社(現在三上六所神社に合祀、甲賀市土山町鮎河)、皇大神宮若宮神社境内社、土山町大河原)、高宮神社(信楽町多羅尾)、桧尾神社(甲南町池田)、日雲神社(信楽町牧)、日雲宮(水口町神明)、五十鈴神社(水口町東林口)、笠山神社(水口町高山)、川田神社(甲賀市水口町北内貴)、川田神社(甲賀市土山町頓宮)が、湖南市に神明宮(上乗寺境内社、三雲)、神明神社(夏見)がある。

【ご利益】
開運、厄除け、交通安全(公式HP
田村神社(甲賀市) - 坂上田村麻呂の鈴鹿峠平定にちなむ、ヤマトヒメゆかりの古社
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