蛭ヶ谷の田遊び(ひるがやのたあそび)
種別1:民俗芸能
種別2:田楽
公開日:毎年2月11日
指定日:2012.03.08(平成24.03.08)
都道府県:静岡県
所在地:蛭児神社(牧之原市蛭ヶ谷)

蛭ヶ谷の田遊びは、年の初めに稲作の工程を模擬的に演じて稲の豊作を祈願する予祝の民俗芸能で、御田打祭(おたうちまつり)、ほた引祭(ひきまつり)とも呼ばれている。神社境内に積み上げられた薪の点火を合図に、その場を浄めるための儀式的な演目、稲作の様を表現する演目が夜更けまで続けられる。

蛭ヶ谷は、静岡県中部、牧之原市にあり、駿河湾に注ぐ萩間(はぎま)川河口から上流約6キロに位置し、萩間川の支流である蛭ヶ谷川の細い谷間に形成された集落。

始まりは定かではないが、天保7年(1836年)没の山中豊平が編纂した『遠淡海地志(とおとうみちし)』に、正月13日に田植祭が行われていたことがみえる。また、蛭ヶ谷の人たちが石段を寄進した礼として、近隣の真言宗西山寺(さいさんじ)から田遊びの権利を譲られたとの伝承があり、西山寺から享保7年(1722年)寄進の刻銘がある石柱が見つかっている。

田遊びが行われる蛭児神社は、静岡県牧之原市蛭ヶ谷の南端近く、蛭ヶ谷川左岸に西面してあり、かつては西之宮大神宮とも呼ばれ、兵庫の西宮神社を勧請して祀ったとされる。

田遊びは蛭児神社の祭礼として、明治5年までは毎年旧暦1月13日に、同6年以降は毎年2月11日に行われている。

田遊びは15歳から40歳の男子で構成される青年会で取り仕切られる。青年会は年番と呼ぶ責任者を中心とする組織で、年番は年長者の2名もしくは3名が務め、年齢が達して青年会を抜けた者から田遊びの師匠が2名選ばれて青年会を指導する。

また、蛭ヶ谷は上組、中組、下組に分かれており、祭礼においては三組が餅搗き、オカガリ、幟建ての役割を順番に務めている。

田遊びの演目は、番外「矢納め」、一番「ほた引き」、二番「里田打ち」、三番「本刀振り」、四番「本刀振りもどき」、五番「長本刀振り」、六番「木長刀振りもどき」、七番「杵振り」、八番「獅子」、九番「田打ち」、十番「牛ほめ」、十一番「鳥の口」、十二番「御草押し」、十三番「麦搗き」、十四番「麦洗い」、十五番「田植え」、十六番「稲刈り」、十七番「蓬莱山」、番外「ほた小僧を桜木に結わえる」の構成である。

三番から七番までは儀式的な演目で、続いて稲作の様を演じる次第が展開される。なお、「獅子」と「蓬莱山」は明治以前には演じていたとするが、現在は行わない。

全演目とも楽器は用いられず、演じ手のかけ声や唱え、所作によって進行する。

保護団体名:蛭ヶ谷田遊び保存会
重要無形民俗文化財「蛭ヶ谷の田遊び」 - 静岡県牧之原市、御田打祭、ほた引祭とも
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